文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

ゼラチン質特徴のノロ

今回は「1本ままで作るイカの塩辛はありますか。自分でも塩辛を作りますが、塩分の量が難しいです。コツはあるのでしょうか」という質問をいただきました。

普通の塩辛は塩で作ります。宮城県内の有名メーカーにも問い合わせてみました。結論から言いますと、塩で作る1本ままという塩辛はないそうです。1本丸ごと使うイカの加工品で思い浮かぶのはやはり沖漬けです。生きたままのスルメイカを船上でしょうゆに入れます。そうするとイカは全身でしょうゆを吸っておいしくなるのです。沖合の海上で作ることからその名が付いたと言われています。

「一本造り」という塩辛がありますが、これも丸ごと漬けるのではありません。耳や胴、げそ、内臓(肝)と、イカのすべての部位を使っていることにちなんだもので、1本ままというのではないようです。

次に塩の分量についてですが、イカの内臓に身をあえるという食べ方を試してみてください。肝を塩でといてイカ刺しをそれにつけて食べるのです。しょうゆの代わりにするわけです。塩分を調整できますから、塩辛くなってしまうという悩みを解決できると思います。私もやってみましたが、おいしかったです。料理屋さんの話では、あえる時はイカの水分を拭き取った方がいいそうです。

イカの肝をしばる際、イカスミが手に付いてしまうことがあります。ナイロン袋に入れてしばると手が汚れません。今の時期のスルメイカは、夏イカに比べて肝が大きくなっているので塩辛に向いています。隠し味でレモンを入れたりすると、市販のものとは違った味わいになります。

今回は、ノロという魚を取り上げたいと思います。全国的な呼び名はノロゲンゲです。底引き網漁が始まり、たまに見えるようになってきました。水揚げ自体はそれほどありません。1日で5キロ入りが20ケース港に揚がると多い漁獲量なのだそうです。

庄内浜では、湯野浜から鼠ケ関にかけて主に揚がり、湯野浜、加茂、由良ではテノロと呼びます。湯野浜付近では特に好まれているようです。鶴岡の市場でノロを買っていく仲買人の大半は湯野浜の魚屋さんです。今で言う湯野浜のロータリー付近で、行商の人がよくノロを売っていたそうで、それから広まったのではないかと言われています。

白身魚なので天ぷら、みそ汁、干物、焼き物とどんな料理にも合います。湯野浜では主にしょうゆ漬けにするそうですが、刺し身にして食べる地域もあります。変わった食べ方では、湯通ししてポン酢であえたり、あんかけにするとおいしいそうです。鍋物のネタとしても食べられています。

ゼラチン質で覆われたノロです。見たことがないという人も多いかもしれません

ノロは全長30cmほどで、ゼラチン質で体が覆われていて淡い褐色とでもいうような色です。見た目で分かる通り、ゼラチン質ですから、体にいい健康食と言えます。背びれや尻びれのふちあたりは黒っぽく、腹にはひれがありません。沖合の水深200メートルより深いところに生息しています。

庄内浜ではスケトウダラやマダラがかなり捕れてきました。新潟産が中心だったハタハタもここにきて、鼠ケ関産が主流になりつつあります。

山北町の寝屋港でズワイガニ漁がスタートしたので、店頭で見かけることも多くなっているかもしれません。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年10月12日付紙面掲載

トップページへ前のページへもどる
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field