読者から「庄内浜の底引き網漁の網目を広げて小型魚を保護するというような記事が新聞に出ていました。庄内で昔から捕れていて地域に親しまれている魚で、資源量が少なくなり、絶滅が心配されているものはありますか」という質問をいただきました。
近年は、底引き網漁、つまりトロール漁の船の性能がよくなり、スピードも速くなっています。小さな魚は生命力が弱く、網にかからなくとも傷ついたり、逃げることができない時もあります。網の目を大きくすることが資源保護の面でどれだけ効果があるか、漁業の現場では疑問視する声もあるようです。
漁師さんたちも資源保護には取り組んでいます。寒ダラ漁の場合、2日続けて出漁したら、翌日は自発的に漁を休むこともあります。決まりではなく、あくまで自主規制的なものです。資源保護とともに魚価の低下を防ぐという面もあるでしょうし、原油価格高騰も影響しているかもしれません。
庄内浜で昔から捕れていたのにいなくなってきた魚の一つにイワシが挙げられます。私が物心ついたころは、それほどたくさん水揚げがあったという記憶はありません。でも、それ以前は庄内浜でも大量に捕れ、イワシから油を取っていたという風景が港で見られたそうです。
アイナメも以前は結構捕れていたのに、最近はあまり揚がらなくなりました。イソシンジョウとも呼び、漢字で磯新丈、または磯新生と書きます。
魚介類の資源保護は広い分野で行われています。以前に紹介したゼニガニの採捕、販売禁止の例もそれに当たります。覚えていますか。ゼニガニとは、ズワイガニの雌で子が未成熟なカニのことです。甲羅のふたを開けたところに外子と呼ぶ卵がないカニを私たちはゼニガニと呼んで区別していました。一昨年秋から捕ることができなくなりました。アワビ漁も採る貝の大きさが規制されていますし、禁漁期間も設けられています。ほかにズワイガニ、イワガキにも禁漁期間があります。庄内浜で底引き網漁が7、8月の2カ月間、禁漁措置が取られているのもこの例に入るでしょう。
逆に今、庄内浜で水揚げが増えている魚介類もあります。何かと言うとアマエビです。ナンバンエビ、アカエビとも呼びます。昔は、すしだねにしても刺し身にしても、かなり高級なものでしたが、今は魚価も下がってきました。なぜ増えたのでしょう。近年、大発生しているエチゼンクラゲを食べて増殖したという説もあるそうです。
(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2008年2月14日付紙面掲載