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個体差あるカラスガレイ

読者から「ギンダラのしょうゆ漬けが好きですが、先日、スーパーでその隣にカラスガレイのしょうゆ漬けがありました。よく似ていてギンダラより安かったです。どこで捕れる魚ですか。ほかのカレイと食べ方が違うようですが、カレイではないのでしょうか」という質問をいただきました。

カラスガレイは、ギンダラの代用品として日本で食べるようになった魚です。ギンダラは資源が先細りで、価格も高騰しています。昔は安くてうまい魚でしたが、今は高級魚の域に達してきたような気がしなくもありません。

ギンダラの次に出てきたのが、今はメロと表示されている魚です。以前は銀ムツの名で売られていました。ギンダラと同じように外国産です。しかし、メロの資源も減ってきました。ギンダラ並み、いやそれ以上の価格になったこともありました。そしてその次に登場したのがカラスガレイなのです。

カラスガレイは、北海道や東北の一部ではギンガレイと呼ばれています。カラスガレイが標準和名。主産地はアイスランド、ロシア、カナダ、スペイン、ポルトガルなどです。英語圏ではグリーンランドハリバットと呼ぶようです。

カラスガレイには個体差があります。でもいいものはとてもおいしいのです

食べ方はどうかというと、ギンダラの代用品ですから庄内ではしょうゆ漬けとなります。スーパーや小売店でもしょうゆ漬けで売られているものが大半でしょう。ギンダラと同様に、ほかの地域ではかす漬けや西京漬けにします。

カラスガレイはカレイの仲間で、外国で底引き網漁やはえ縄漁、刺し網漁で捕れます。水深1000メートルぐらいの海底にすんでいます。皆さんは切り身でしか見ることがないので、大きさは分からないかもしれませんが、重さ1kg前後が水揚げの中心で、日本では1~2kgサイズを輸入しているそうです。

台湾や香港では大型のカラスガレイを中華料理の材料に使っていて、油で揚げて甘酢あんをかけたりするそうです。ヨーロッパ、特にドイツでは薫製にして食べているようです。スペインやポルトガル、EU諸国では小型のものをムニエルにしたりすると言います。

カラスガレイは、ギンダラに比べて脂ののりや品質の個体差が大きく、脂が水分より多い場合、焼いているうちに崩れてしまうこともあります。このような状態になることを「ゼリーミート」と呼びます。

一番評価されているのはアイスランド産で、ほかの国より価格も高いです。国が資源保護に熱心で、産卵期の9、10月は禁漁にしています。冬期間は海が凍るため出漁できません。魚体が太っておいしい時期に水揚げするので、いいものが捕れるということです。ほかの国はアイスランドほど規制が厳しくありません。個体差はあっても、アイスランド産を買えば、おいしいカラスガレイに当たる確率が高いと思います。

回転ずしにエンガワというネタがあります。エンガワというと、ヒラメを思い浮かべると思いますが、ヒラメのエンガワは高価で量も少ないのです。代わりにオヒョウガレイという魚か、カラスガレイのエンガワが使われているケースが多いということも雑学として知っておいてください。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2008年5月13日付紙面掲載

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