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「グリーンアスパラ」甘み、太さが自慢

30cmの高さに達したアスパラガスをメジャーの付いたはさみで切り取り収穫する

「ハウス栽培のアスパラは皮が薄く太い。アスパラは太い方がおいしいのです」。酒田市の産直施設「食彩工房いちご畑」にグリーンアスパラを出荷している佐藤幸喜さん=坂野辺新田=のハウスは十里塚との境に近い砂丘地にある。妻のえりさんと2人に案内され、ハウス内に入ると鮮やかな緑色のアスパラが目に飛び込んできた。

佐藤家では22年ほど前からアスパラの露地栽培に取り組み、1992年にハウスへと移行した。現在は約20棟のハウスでアスパラを栽培している。

収穫には、メジャーが付いた「一体型」のはさみを使用する。丈が30cmに達したところで収穫期を迎える。選果機にかけて根元部分を3cmほど切り落として出荷する。皮の部分に硬さが残るからだ。

収穫作業を見終えた後、自宅の茶の間に通された。「これを食べてみてください」と幸喜さんが出してきたのがアスパラのあっさり漬け。一本一本がスーパーの店頭ではめったにお目にかかれないほど太い。

「朝取りしたものの根っこ部分の皮をむいたものです。『おまえの所だから食べられるぜいたく品だ』と言われています」と幸喜さんが笑う。えりさんは「早い話が廃棄物。でもそこが一番太くておいしいんですよ」。農家ならではの「裏メニュー」のアスパラには甘みがたっぷり含まれていた。

ハウスのアスパラは春から秋にかけて収穫される。11月に枝木は枯れるが、その前に葉が太陽の光を十分に浴びると、根に養分が行き渡り、翌年のアスパラはおいしくなるという。「去年の秋、天候に恵まれたので、今年のアスパラはとてもおいしいんです」。幸喜さんは誇らしげだ。

砂丘地でのアスパラ栽培は、地下水が豊富で水管理がしやすく、長雨でも農地が水浸しになる心配はない。一方で養分が流れてしまうため、たい肥の補充が毎年欠かせない。よく熟成させた自家製たい肥を使い、土壌診断でチェックした後にミネラル分を補給するなど栽培には苦労も伴う。

最近は、メキシコなどの輸入品も出回っているが、鮮度のよいアスパラは全く別物だ。朝取りのアスパラに包丁を入れると水分がにじみ、口に含むと何とも言えない甘さがある。根っこ部分を切り落としているので丸ごと食べることができる。

「揚げても焼いてもゆでてもいい。つぶした梅干しにワカメとかつお節を入れ、しょうゆとだし汁で割り、ゆでたアスパラを和えるのもおいしい。生のアスパラに油を塗って魚焼き器などでさっとあぶり、ショウガじょうゆかワサビじょうゆで食べてみてください。素材の味が楽しめますよ」とえりさん。子供向けにはニンニクいためがおすすめという。

アスパラを知り尽くしているだけに、いろんな料理法を試しているが、幸喜さんは「アスパラの収穫期は農家も忙しいので料理に手間をかけられないんです。消費者の方が調理法を知っているかもしれませんよ」と話す。

いちご畑にはえりさんの名前で出荷される。「規格品」のほか、折れたりした「はじき」の袋詰めも販売し、人気を集めている。結婚前、保母さんだったえりさんにとってアスパラは「園児」のようなもの。愛情をたっぷり注いで育て上げる。

品質の良いアスパラの見分け方について幸喜さんは「穂先が締まっていて切り口がみずみずしいもの」と解説してくれた。「おいしくて安全なものを食べてもらいたい。根っこを使ったあっさり漬けも将来、いちご畑で販売したい」と意気込む。

幸喜さんの名刺には「アスパラガス生産者」「勤務地山形県庄内砂丘」と印刷されている。アスパラに惚れ込んだ農家の心意気が伝わってくる。

佐藤さんのおすすめレシピ

グリーンアスパラのニンニクいため

○材料

グリーンアスパラ、ベーコン、ニンニク、長ネギ、塩、こしょう、しょうゆ、

○作り方

  1. アスパラを3~4cmの長さに切る。長ネギは白髪ネギにしておく。ニンニクは刻む。
  2. フライパンに大さじ2のオリーブオイルかサラダ油をひき、1~2片分の刻みニンニクをいためる。
  3. 「1」の材料を入れ、塩、こしょうをして強火でアスパラの色が濃くなるぐらいまでさっと炒める。
  4. 香り付けにしょうゆをたらして白髪ネギを加える。

2006年4月1日付紙面掲載

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