「地味な素材ですが、青ジソはいかがでしょう。めんたま畑に料理上手な人を紹介してもらいます」。県庄内総合支庁酒田農業技術普及課の呼びかけに「夏らしくていいですね」と即答。今回は、素材より料理法が中心になる。
お手製の総菜など加工品を販売している小松原トク子さん=桜林=と酒田市平田地域のめんたま畑で待ち合わせした。約束の時間より早く着いたので、中をのぞいてみた。
店内の一角に「トク子さんちのおそうざい」というコーナーがあった。しそ巻きや煮っころがし、おからいりなどの「手料理」が並んでいる。まさに「おふくろの味」。反対側にある組合員の総菜コーナーにも小松原さんの焼きおにぎりや炊き込みご飯があった。
小松原さんが到着した。「総菜に使う材料は、自分の畑で採れたもののほか、ここで売っている野菜を使っています。地産地消ですね」と笑顔が返ってきた。
自家製みそを青ジソで包み、油で揚げたしそ巻きは毎日、作っているのだそうだ。「もち米を粉にしたものも入れています。実家の母親から受け継いだ味です」。めんたま畑の人気商品でもある。
みそを付けた焼きおにぎりにも青ジソが付いていた。口に入れてみる。青ジソがおにぎりに風味とふくらみを与えている。わが家で作る弁慶おにぎりは、みそがうまく付かない。
「なぜ」と疑問を口にしたら「ご飯を先に焼いてから付けるといいですよ。そしてまた火を通すの。〝企業秘密〟だからあまり教えたくないけど」とコツの一端を明かしてくれた。「なるほどそうか」と目からうろこが落ちた。
おすすめレシピはたくあんの青ジソ巻き。「今日は柿酢を入れて砂糖を控えめにしてみました。和がらしでもいいけど、私は色も良くて辛みも引き立つ洋がらしを使います」。
言われなければ、中に入っているのがたくあんとは分からない。からしと酢が、たくあんの別の面を引き出している。たくあんは得意でないのだが、これなら食べられる。日本酒や焼酎と合いそうだ。こんな食べ方があったのかと、またも目からうろこが落ちた。
「ジャガイモにひき肉を混ぜたサラダを青ジソとハムで巻いてパン粉を付けて揚げたハムサンド、ナスといためるけんちんもおいしい。青ジソは油とも合性がいいようです」。夏の料理に清涼感とアクセントを与える青ジソは小松原家で大活躍している。
もちろん、そうめんやなんぜんじなどの薬味にも欠かせない。「アクがあるけど、水にさらすと抜けます。でもぬるま湯の方がしゃきしゃき感が出ますよ」と聞き、またも目から…。
先人の知恵に自らの工夫を加えた小松原さんの料理をぜひ一度食べてほしい。1日で100食分が完売するというのだからすごい。ただ、青ジソについては「私は販売していないので、めんたま畑の会員のシソを買ってください」と申し訳なさそうに話した。
小松原さんの総菜類は170円から、焼きおにぎりは2個入り180円、しそ巻きは1本100円。酒田市飛鳥のめんたま畑=電0234(61)7200=で販売している。
たくあん2キロ、砂糖1キロ、洋からし35グラム、青ジソ適当な枚数。調味液(しょうゆ1カップ、焼酎1/2カップ、酢1/4カップ)
冷蔵庫で2~3時間おくと食べられる。おいしいのは1週間ぐらいだが、真空パックや冷凍すれば冬まで大丈夫。時間がたったら上から新しい葉を巻いてやるといい。
2008年9月26日付紙面掲載