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「アンデスメロン」ネットの張りで見極め

学生時代、親元から箱詰めのアンデスメロンが送られてきたことがあった。周囲から「おまえんちは金持ちか?」と驚かれた。バブル景気に日本全体が舞い上がっていた1980年代後半、メロンはかなりの高級品だった。

「そのころは市場に1箱3500円で出していました。今は価格もかなり下がっています」。鶴岡市の百万石の里「しゃきっと」でアンデスメロンを販売している若生達之さん=豊田=が当時を懐かしむ。

この時期、しゃきっとではアンデスをはじめとしたメロンが飛ぶように売れる。来店者が気に入ったものを選び、宅配便で首都圏などに送る。若生さんは「きれいなメロンを作る」と生産者たちからも高く評価されている。

生産者たちからも高く評価されている若生さんのアンデスメロン

メロン栽培を始めて21年。その間、いろんな種類のメロンを手がけたそうだが、「アンデスにかなうものはない」と、今は一本にしぼっている。「30年近く続いているロングセラー。一つの品種がこれだけ支持されるという例は珍しいです」と惚れ込む。

メロンのおいしさは糖度が決め手と思っていた。しかし、若生さんは「甘いのがいいなら、カキやイチゴなどほかの果物で代用できる。極端な話、砂糖をなめればいいわけです。メロンは、甘さに香り、そして味の良さが加わってこそおいしいのです」と力説する。糖度は一つの目安にすぎないということだ。

おいしいメロンを選ぶポイントを聞いた。「ネットの張りのバランスがよく、見た目もきれいなものがおいしい。それとネットが盛り上がっているのがいいですよ」。

ネットの盛り上がりとは初めて聞くフレーズだ。「素人で見分けが付くだろうか」と疑問を口にすると、「これなんかいいです」とそばにあったメロンを指さした。なるほど編み目の縦のラインが盛り上がっている。「並べて見比べれば分かるでしょう。全部がこんなメロンに育てばいいんですが、なかなか難しくて」と苦笑いする。

「食べごろ」が書いていない場合、時期の見極めが難しい。「収穫から5、6日が目安ですが、温度や置く場所など条件で変わってきます。『花座(はなざ)』と呼ぶ底の部分を押してみて、軟らかくなってきたら大丈夫です」と教えてくれた。

「7月の天候条件がよく、今年のメロンは出来がいい。寒暖の差があると甘みものります」。こんなメロンを毎日食べられるなんてうらやましい限りと思ったら「確認のため味見はしますが、飽きてしまって自分からは食べません」という答えが返ってきた。

取材後、収穫したばかりのメロンをいただいた。この原稿が載る日が食べごろで、編集局の部屋に飾ってある。

たっぷりの肥料と太陽を浴びて育った「甘くて味も良い」若生さんのメロンは5個2800円。お盆過ぎまで鶴岡市覚岸寺のしゃきっと=電0235(29)9963=で販売している。

2008年8月12日付紙面掲載

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