「キタアカリ」「インカのめざめ」と、このコーナーに過去2回、ジャガイモが登場した。今回、取り上げるジャガイモを初めて見る人は目を丸くするのではないか。皮が黒いのだから。
「10年以上前、仙台市内の農家の軒先で見つけ、おもしろいと思って種イモ用に買ってきたんです。品種名が書いてあったかもしれませんが、分かりません」。三川町の物産館マイデルで黒ジャガイモを販売している渡部宏美さん=土口=が申し訳なさそうに話す。
その時に赤紫色のジャガイモも購入し、マイデルのオープン後、この2種類のジャガイモを販売している。「うちでは黒ジャガ、赤ジャガと呼んでいます」。
黒いジャガイモとはどんなものだろうと思っていると、「まず食べてみてください」と2品の料理がテーブルに。片方はポテトサラダ、もう一方は茶わんに入った汁物。イモの色は黒ではない。
「できたてだからホクホクしておいしいですよ」と言われ、ポテトサラダをいただいた。ジャガイモらしい「ホクホク感」はサラダになっても味わえる。「平塚(神奈川県)にいる息子は、帰省すると、黒ジャガのポテトサラダとサンマをリクエストするの。わが家はみんな、このイモが大好きです」と胸を張る。
次にわん物を口に入れた。みそ汁かと思ったら洋風の味。煮くずれしたようなジャガイモとベーコン、タマネギが入っている。「コンソメと牛乳を入れて、塩コショウで味付けしたスープです。ジャガイモはわざとお玉の底でつぶしてみました」。子供たちが喜びそうなまろやかな味だ。
料理前の黒ジャガを見せてもらった。なるほど皮が黒い。温海カブの紫色を黒くしたような色のジャガイモもある。もともとは濃厚な赤紫なのかもしれない。切断面はオレンジ色に近い黄色。皮とアンバランスな感じだがとてもきれいだ。
しかし、外観はお世辞にもきれいとは言えない。初めて見た人が買うだろうか。思わず口にすると、「最初はびっくりしてとっつきにくいかも。私のような物好きな人が買うのではないでしょうか」と笑った。
「田田」に立ち寄った帰りに買った山形市内の人から「おいしかった。もっとないか」と電話が来たというからリピーターが多いのかもしれない。
渡部家ではコロッケや煮物などいろんな料理を楽しむ。「でも煮くずれしやすい。ラップでくるんでレンジで温めてバターと食べるのが一番かも」と話す。
帰宅後、いただいた黒ジャガをジャガバターで食べてみた。皮の色にびっくりした子供たちも大喜び。ホクホクしてとてもおいしかった。
渡部さんの黒ジャガイモは1キロ入って150円。三川町横山のマイデル=電0235(68)2500=で年末まで販売している。
黒ジャガイモ、キュウリ、ニンジン、タマネギ、フレンチドレッシング、 塩、コショウ、マヨネーズ
2008年9月13日付紙面掲載