産直で初めて見たとき、おもしろい色をしたカブだと思った。名前を覚えておこうとしたが、外に出た瞬間に忘れてしまった。横文字だったからだ。記憶の底に眠っていた野菜をその後、取材することになろうとは…。
「『何だこれ、初めて見る』と近所の農家も驚いていました」。鶴岡市の「産直こまぎ」でコールラビを販売している伊藤茂子さん=外内島=が愉快そうに話す。見た目はカブのようだが、実はアブラナ科の野菜でキャベツの一種。ドイツ語でコールはキャベツ、ラビはカブを意味するから、何となく雰囲気は分かってもらえるだろうか。
「種苗会社のカタログを見ていておもしろそうだと思い、今年初めて栽培してみました」。淡い緑色と赤紫の2種類の種をまき、8月上旬に緑の方から収穫を開始。レシピを添え、オープンしたばかりの産直こまぎで販売した。
早速、畑に連れて行ってもらった。土から顔を出した赤紫のコールラビはやはりカブみたいだ。「うちではほうれん草もコールラビも農薬を使わず、消毒もしていません。だから虫が食べたものもあるかも」と伊藤さん。
料理の際には皮をむいて使う。伊藤家では「油でいためてけんちんにしたり、みそ汁、漬物にします。若い人は茎も食べますよ」と教えてくれた。ポトフや煮物、シチューなどに入れてもおいしいそうだ。
伊藤さんのおすすめレシピはジャガイモを漬物床に使った漬物。「テレビ番組で見ていて、簡単でいいなと思った。キュウリやニンジンなどどんな野菜とも合う漬物床。私が作ったジャガイモとコールラビを一緒に買ってもらえるとうれしいです」とにっこり。
帰宅後、いただいたジャガイモと緑のコールラビで漬物といため物を作ってみた。皮をむくときの感触はブロッコリーに似ている。ジャガイモが冷めるのを待ってコールラビとあえて冷蔵庫へ。
翌朝、ご飯のお供で食べてみた。しゃきしゃきしてみずみずしい食感が心地よい。カブより大根に近い。「もたもた感」がないのがうれしい。この漬物床は重宝しそう。作り置きしておいたので楽しみだ。ジャガイモ床との相性もよい。いため物は、火はしっかり通すのがコツのようだ。次回は煮物にもチャレンジしたい。
緑のコールラビは終わり、今は赤紫が収穫期。普段は2個売りだが、残りが少ないので1個売り(円)してもらえることになった。来週まで鶴岡市日枝の産直こまぎ=電0235(35)0660=で販売している。
コールラビ1個、ジャガイモ250グラム(中1個)、砂糖300グラム、塩100グラム
2008年10月11日付紙面掲載