立春を過ぎたとはいえ、鍋物がおいしい時期はまだ続く。鍋の締めのうどんや雑炊はもちろん、ラーメンなどの汁物に欠かせない脇役がネギだ。このコーナーで平田名産の「赤ねぎ」や生でも食べられる「軟白ネギ」を紹介したが、今回は日本のネギとは用途が違う西洋ネギの「リーキ」を取り上げる。
「昨年、就農したばかり。まだ見習いみたいなものです」。頭をかきながら出迎えてくれたのは、遊佐町の遊佐駅舎内にある産直スペース「ぽっぽや」でリーキを販売している高橋洸太さん=遊佐。昨年春に帰郷、両親の下で農業に励んでいる。
高橋さんは、1月31日から2月28日まで、町の事業でハンガリーとオランダに農業留学し、本場のパプリカ栽培を学んでいる。出発前日というあわただしい中、ぽっぽやで取材に応じてくれた。
「太くて見た目は群馬県の下仁田ネギに似ています。でも、葉っぱはつぶれたようになっていて、日本のネギのような筒型にはなりません」。長ネギと比べてみると、確かに葉は平べったい。ニラの葉を広くしたような形だ。
「根本はなぜかちょっと太くなっているんです」と高橋さんが続けた。切り口の部分が膨らんでいる。遠目は長ネギと同じだが、よく見ると違いが分かる。
それじゃあ味はどうなんだ、料理法は。こんな疑問がわいてきたので、高橋さんにぶつけてみると「白い部分はポトフなど洋風の煮込み料理にいいようです。甘みがあり、いい意味でも悪い意味でもネギ臭さがないのが特徴です」という答えが返ってきた。
リーキのフランス名はポアローで「貧乏人のアスパラガス」とも呼ばれるそうだ。国内に出回っているリーキの大半はヨーロッパからの輸入物。鮮度の問題もあるのか、青みは切り落としてある。高橋さんのリーキはもちろん採りたてだから、葉の部分も付けて販売している。「葉はニラの代用として使うのがいいようです。ギョーザやいため物がおすすめです」。
リーキの知名度が低いので、高橋さんは料理法を書いた紙を張り、たまり漬け、酢豚、マリネ、あんかけなどを紹介している。長ネギとの比較ではカロテンが倍、ビタミンEとKがともに8倍というから、栄養価の面からもぜひ食べたい野菜だ。
帰宅後、いただいたリーキをポトフに入れてみた。日本のネギと違って煮くずれせず、甘くてくせがない。少し煮込む方がおいしいようだ。日本のネギをイメージして口に入れると肩すかしを食うかもしれない。
おすすめレシピのグラタン風は作るのも簡単。野菜嫌いの子どもたちにも好評だった。ベーコンやハムなど動物性タンパクを加えれば、さらにおいしいと思った。食卓を飾った赤ワインとともに、ちょっとリッチなディナーを楽しむことができた。高橋さんは今ごろ、ハンガリーで本場のリーキを味わっているかもしれない。
通販などでは1本ウン百円というリーキが4本で200円。遊佐駅舎内のぽっぽや=電0234(72)3758=のほか、父親の名前で菅里のふらっとでも販売している。
リーキ、とろけるタイプのチーズ、オリーブオイル、塩、コショウ
2009年2月9日付紙面掲載