「次の素材はスナップエンドウではいかがでしょう」。県庄内総合支庁酒田農業技術普及課からの誘いでスナップエンドウを取り上げることになった。「サヤエンドウと違うのだろうか」という疑問が浮かんだので、編集局の女性スタッフに聞いてみると「サヤエンドウより皮が厚く、実が大きいんだと思いますよ」という答えが返ってきた。「なるほどそうか」とうなずき、酒田市のみどりの里山居館でスナップエンドウを販売している坪池豊さん=横代=を訪ねた。
「うーん、ちょっと違うかなー」。編集局の「見解」に坪池さんが苦笑いを浮かべる。「サヤエンドウは、実ではなくさやを食べるもの。逆に豆だけを食べるのがグリーンピースです。スナップエンドウはいわばその中間で、両方を食べます。実の大きさはあまり関係ありませんが、皮は確かに厚いです」。坪池さんの解説で何となく胸のつかえが取れた。
スナップエンドウの栽培を始めて4年目。産直のほか、首都圏の百貨店などで販売している。市場に出荷しないのには訳がある。特製の肥料を使い、有機酸で根の活力を高める「植酸農法」という方式で育てているからだ。
「コストがかかるので変人しかやらない農法です」と笑うように、投入する肥料の量は半端でないらしい。その成果はどこに出るのか。「うちのスナップは、ほかのとは違うぐらい甘いですよ。生でも食べられますから」と自信をのぞかせた。
その言葉に引かれ、ハウスに連れて行ってもらった。確かにサヤエンドウより皮が厚い。「食べてみますか」とその場でもぎ取ったスナップエンドウを渡された。口に入れるとなるほど甘い。青臭さをほとんど感じないことにも驚いた。
調理法について聞いてみると、「この辺ではゆでたり、みそ汁や生のままいため物にするのが一般的でしょう」と話した後、「ほかの人は知らないかもしれませんが、じか火であぶって食べると、すごい甘みですよ」と教えてくれた。
まだ寒い時期、たまたまストーブの上であぶってみて「発見」した方法だそうだ。「バーベキューや焼き肉の要領です。塩コショウ、マヨネーズ、焼き肉のたれなど好きな味で食べてください」。
帰宅後、いただいたスナップエンドウを魚焼き機であぶってみた。塩を振って口に入れると掛け値なしに甘い。野菜と言うより果物のような味わいだ。先入観なしに食べた子どもが「超甘ーい」と歓声を上げたほどだ。孟宗とのいため物もおいしかった。
でも、おすすめレシピの素焼きをぜひ最初に試してほしい。スナップエンドウに対する概念が変わるはずだ。焼き方は好みもあろうが、個人的にはレアかミディアムレアぐらいがいいと思った。
坪池さんのスナップエンドウは100グラム入って1袋150円。酒田市山居町一丁目の山居館=電0234(26)6222=で6月中旬まで販売している。
スナップエンドウ、塩、コショウ
塩コショウのほか、マヨネーズ、焼き肉のたれなど好みの調味料でよい。
2009年5月23日付紙面掲載