今回、紹介するのは、タッチの差で昨年、取材できなかった素材だ。中華料理ではよく見かけるが、地場物は旬が短いらしい。
「収穫できるのは10日間ぐらいでしょうか」。三川町の物産館「マイデル」でニンニクの芽を販売している齋藤京さん=成田新田=に話を聞き、やはりそうかと納得した。
ニンニクの芽と呼んでいるが、正確には地上に伸びたニンニクの茎のことだ。芽のように軟らかいので、この名が付いたらしい。「この芽を取らないと、地中のニンニクが大きくならないんです」と齋藤さんが話す。
「肉料理とは何でも合いますが、まずこれを食べてみてください。斜めに切ってみました」。さっとゆでたニンニクの芽をごちそうになった。湯気が出ていて温かい。「ゆでただけでも甘いでしょう」と言われ、口に入れてみる。確かにニンニクの芽自体に甘みと独特の風味がある。マヨネーズを付けて食べてもおいしい。単純だが、面白い味だ。
「料理に緑色が欲しいなと思ったらモヤシと一緒にゆでて使います。彩りが良くなりますから。肉とのいため物ではモヤシのほか、キャベツなどを入れたりもします。農家の女はある物で食べるんです」と笑った。齋藤家の味付けは塩コショウが多いという。
ニンニクの芽のいため物は好物なのだが、下ゆでをすべきかどうか悩んでいたので、この機会にと聞いてみた。「生のまま入れると風味が出ます。火が通りにくいので、肉より先に入れてください。色合いを楽しむなら下ゆでした方がいいです。その場合は最後に投入してください」。疑問が氷解した。
昨年10月に種を植え付け、春に追肥した。農薬は使わないそうだ。「消毒もしていないので安全ですよ」と胸を張る。「正確には無臭ニンニクの芽です」と続けた。
千切りした大根とのサラダもごちそうになった。「食べたことのない味でしょ」と言われ、思わずうなずく。辛い大根と生のニンニクの芽、それにドレッシングの取り合わせもなかなかいい。体から「気」が出てくるような感じがするのはニンニクパワーだろう。
帰宅後、いただいたニンニクの芽を下ゆでし、しょうゆに漬けておいた鶏肉と一緒にいためてみた。甘くておいしい。やはり肉とよく合う。子どもたちも喜んで食べていたので、取っつきやすい野菜なのだろう。難点は旬が短いことか。
齋藤さんのニンニクの芽は300グラム入って1束140円。三川町横山のマイデル=電0235(68)2500=で販売している。1カ月もすれば、今は地中にある無臭ニンニクも出てくる予定だ。
ニンニクの芽、豚の薄切り肉、サラダ油、キムチ
2009年5月30日付紙面掲載