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「山クラゲ」茎を食べる「レタス」

「山クラゲはレタスの一種なんですよ」。庄内町狩川の農産物交流施設「風車市場」に山クラゲを出荷している依田すず子さん=荒鍋=が教えてくれた。畑で実物を目にして驚いた。白菜に似た緑色の葉、その下に白っぽい大根のような茎が伸びている。日本では見ることがないタイプの野菜だ。

山クラゲは中国原産。こりこりとした食感がクラゲの酢の物に似ているところから名が付いたと言われる。昔は王様しか食べることができず、中国では「貢菜(こうさい)」と呼ばれた。日本に乾燥させたものが輸入され、酢の物やサラダ、和風料理などに使われている。

「中国では茎を食べるレタスなんだそうです。最近になって老化を食い止め、高血圧予防に効果があると分かりました。となれば食べないわけにはいかないでしょう」と依田さんが笑う。山クラゲにはビタミンEとC、カロテン、カリウム、カルシウムも多く含まれている。

右側が収穫した山クラゲ。畑にあるときは緑の葉に隠れて茎は見えない

風車市場のオープンを翌年に控えた2000年、旧立川町の後押しで山クラゲの栽培を始めた。夏場に涼しい山間地の気候が「レタス」の栽培に適しているとみられていた。種をまいてから収穫までは3カ月ほど。年に3、4回の「連作」も可能だ。

「種まきから定植までは主人、追肥と土寄せ、収穫は私がやります。追肥と土寄せをしなければ、茎はあれほど太くなりません」。成長した山クラゲの茎の太さは直径5cmほどに達する。

皮が硬いので食べるときにむく。「上からむく方が簡単です。切り方はお好みでどうぞ。サラダや漬物など生食、けんちんや煮物、いため物などどんな料理でもOKです。味はあまりないので食感を楽しんでください」と話す。

依田さんに酢の物とズッキーニ入りの辛子漬けをいただいた。輸入した乾物のようなこりこりとした食感はないが、しゃきしゃきしていておいしい。くせがなく、中華料理の素材に使われる乾物の山クラゲとは別物と考えた方が良さそうだ。「昨日作ったものですが、娘が朝食べて『おいしい』と弁当に入れていきました」。依田家では毎日の食卓に欠かせない存在でもある。「葉はゆでたりサラダなどでどうぞ」。

依田さんのおすすめレシピは「私自身、一番好きな食べ方」というさつま揚げとのひと煮。「歯ごたえがなくなるので、火を入れすぎないようにしてください」とコツを教えてくれた。

生の茎を切ると、白い汁が出てくる。「この汁が苦いので、虫がつかないそうです。だから完全無農薬栽培ができるのです」と胸を張った。

今、風車市場で販売している山クラゲは今月末で収穫を終え、以後は8月、10月と2カ月ごとに旬を迎える。首都圏などでは1本300円ぐらいの高級食材だが、風車市場では130円で販売している。

「食べ方が浸透し始めたので、味を覚えた人が買ってくれるようになりました」。リピーターをひきつける中国生まれの山クラゲ。風車市場の名物として定着してきた。

依田さんのおすすめレシピ

山クラゲとさつま揚げのひと煮

○材料

山クラゲ400g、さつま揚げ1枚、A(だし汁 2カップ、みりん 大さじ1、酒 大さじ1、しょうゆ 大さじ1/2)

○作り方

  1. 山クラゲを茎と葉に分け、茎の皮は上からさっとむいて斜め薄切り、葉はざく切りにする。
  2. さつま揚げはさっと湯通しして、一口大に切る。
  3. 鍋にAを入れて煮立て、山クラゲの茎と2を入れて3、4分煮たら葉を加えてさっと煮て、汁とともに器に盛る。

【メモ】 新鮮なヤマクラゲはすぐにやわらかくなるので、火を通しすぎないようにする。

2006年6月24日付紙面掲載

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