今回、取り上げるサラダかぶは昨年の秋、初めて食べて感激した野菜だ。白カブを食べる時に口の中で感じる「繊維質」がないのに衝撃を受けた。
「わたしはここ10年ほど、このカブしか食べていないので、ほかの白カブとの比較はできません。でも、友人や近所の人におすそ分けすると、『すごくおいしい』と言われるのでうれしいです」。遊佐町の遊佐駅舎内の産直スペース「ぽっぽや」でサラダかぶを販売している伊藤巳暉(みき)さん=野沢=がはにかんだ。
伊藤さんがこのコーナーに登場するのは、昨年9月の「ムカゴ」に続いて2回目。前回の取材後、ぽっぽやをたまたまのぞいた際、店番をしていた伊藤さんにサラダかぶをいただいた。浅漬けを作ってみたところ、冒頭の感激につながったのだ。
その後、遊佐町内のイベント会場で伊藤さんに再会した。カブのおいしさを伝えると、そばでやりとりを聞いていた仲間の女性が「サラダかぶはおいしいのよ」と同意してくれた。
見た目は何の変哲もない白カブなのに食べるとひと味違う。伊藤さんは先日、遊佐町と友好都市の盟約を結んでいる東京都豊島区の町のアンテナショップに足を運び、サラダかぶを販売してきた。「葉っぱを付けて持って行ったら、『おいしかった。また買いたい』と言ってくれました。カブは葉にも栄養があるんです」と胸を張る。
こうじ漬け、みそかす漬け、赤カブとの酢漬け、松前漬けとのあえ物。サラダかぶの料理がテーブルにずらり並んだ。「食べてみてください」と言われ、はしを伸ばす。カブ自体が軟らかく、「繊維質」がないので食べやすい。白カブの表現に適切か分からないが、ツルリとした食感が心地よい。「この味だった」と久しぶりのサラダかぶ料理を堪能した。
「生でサラダのように食べるときは皮をむき、漬物ならそのままどうぞ。あまり手を加えない方がいいようです。生ならめんつゆやドレッシングをかけてすぐに食べられます。葉っぱは油揚げなどといためてもおいしいですよ」と調理法を教えてくれた。
帰宅後、サラダかぶは茎と一緒に浅漬けに、葉っぱはけんちんにしてみた。浅漬けはサラダかぶならではの真価を発揮し、けんちんも繊維が気にならずおいしかった。これからちょくちょくぽっぽやに足を運ぶことになりそうだ。
伊藤さんのサラダかぶは遊佐駅舎「ゆざっとプラザ」内のぽっぽや=電0234(72)3758のほか、同町吉出の「さんゆう」=同(72)4500=で11月上旬まで販売している。
米1升、米こうじ1升、塩3合
一晩置けば食べられる。漬け床を小出しに使い、ほかの野菜を漬けてもおいしい。
2009年10月24日付紙面掲載