「初めて見た人はカボチャと聞いてびっくり。生で食べるんですよと言うと2度びっくりします」。遊佐町の道の駅「ふらっと」にコリンキーを出している伊原ひとみさん=比子=が笑った。
コリンキーは、生食用に改良されたカボチャだが、外観はタマネギのような形で、色はレモンやグレープフルーツに近い黄色。ソフトボールぐらいの大きさだ。「向かい側の棚にグレープフルーツがたまたま並んだ時、『似ているね』と、ふらっとでみんな爆笑でした」と話す。
伊原さんとコリンキーの出合いは6年前にさかのぼる。酒田市内の種苗店で「変わったものがあるよ」と勧められた。
1年目からふらっとで販売したが、「最初は自分たちも食べ方、売り方が分からなかった」。調理法が確立されてないことに加え、知名度もなく、売れ残る日が続いた。それでも「めげずに作り続けた」かいがあり、2年ほど前から人気が出てきた。売り場には試食用の焼酎漬けも置いている。「『おいしいね』と買ってもらっています。最近は持って行ったものが全部売れるようになりました」と笑顔をみせた。昨年は酒田市内の有名フランスレストランも使ってくれた。
生食用カボチャはどんな味がするのか。「くせがなく、味も強くない。私は、漬け物やサラダなど生で食べるのが一番だと思います。でも彩りがよいので、いためものもいいし、何にでも使えますよ」とPRする。料理をする際は、一般のカボチャと同じように切り、中に入っている種を取り出す。生の場合も皮付きのまま食べる。カボチャと同じ露地栽培で育てている。
「さあどうぞ」。伊原さんの自宅でキュウリと一緒に焼酎漬けと辛子漬けにしたコリンキーをいただいた。さくりとした歯触り、みずみずしさが口の中に広がる。カボチャというよりキュウリのような食感だ。焼酎漬けの方がコリンキーの持ち味が出ているように感じた。口にすると「私もそう思います」という答えが返ってきた。
今の時期、伊原家ではコリンキーの漬け物が連日のように食卓に並ぶ。ふらっとの試食用を毎日漬けるからだ。たまには変わったものをと、サクラエビ、タマネギ、乾燥アオサと一緒にかき揚げにしてみた。ふだんはあまりコリンキーを食べない2人の子どもも大喜びだったという。
「遊佐にはフリーダムという名のキュウリ、赤のパプリカという名物があります。それにコリンキーを加えたら色鮮やかな漬け物になる。パプリカが出たらやってみればとお客さんに言われています」。新名物誕生の日も近そうだ。ふらっとで7月中旬まで1個100円前後で販売している。
コリンキーとキュウリ 計1kg(漬ける状態での重さ、両者の比率はお好みで)、タカノツメ2本、塩30g、焼酎50~80cc、砂糖100g
2006年7月1日付紙面掲載