「うちにはまだ入っていませんが、白山店にはあるそうです」。鶴岡市の産直館のぞみ店のスタッフが情報をくれた。待ち兼ねた地物の春キュウリがようやく出始めたというので、佐藤昭子さん=小淀川=のハウスを訪ねた。
「まだ雪があるなんて考えられませんね」。ハウスそばに残る雪を見やりながら、佐藤さんが笑った。暖房が効いているハウスの中は暖かい。緑色の葉の間から小さなキュウリが顔をのぞかせている。「走り」というのが見て取れる。
キュウリは水分の含有量が多く、鮮度が食感に大きく影響する。地物を待っている消費者は多い。佐藤さんは、朝取りのキュウリを産直などに持って行くから新鮮そのもの。「今は出荷量が少ないのですぐに売り切れてしまいます」というのも当然だろう。「極力、低農薬で栽培しています」。これも消費者にはうれしい。
佐藤家では浅漬けやサラダのほか、夕顔のようにいため物にも使う。「ベーコンと一緒に塩コショウでいため、オイスターソースで味付けするのもいいですよ」と教えてくれた。ゆでたアスパラとキュウリ、ワカメをだしじょうゆであえてもおいしいのだそうだ。
新鮮なキュウリの見分け方も知りたい。聞いてみると、「トゲが手に刺さるような物が鮮度がいいと言います。古いキュウリはイボイボが白くなり、緑の色つやがなくなります」という答えが返ってきた。
気になる値段については「まだ収穫量が少ないので3本入り150円で販売しています。たくさん取れるようになったら値下げします」と申し訳なさそうに話した後、「安くなったらつくだ煮に挑戦してみてください。ご飯がすすむので、子供たちも喜んで食べると思いますよ」と笑った。
帰宅後、もぎたての初物の春キュウリを子供と一緒にもろきゅうで食べた。口の中で「果肉」がはじける。みずみずしくておいしい。「これがキュウリの醍醐味だ」と思わずつぶやいた。次回はおすすめレシピのつくだ煮を作ってみたい。
佐藤さんの春キュウリは鶴岡市白山の産直館白山店=電0235(25)6665=、同市覚岸寺のしゃきっと=同(29)9963=で当面は販売。収量が増えてからは産直館各店と生協の店頭にも「小淀川」の地名入りで並ぶ。
キュウリ1キロ、しょうゆ50㏄、砂糖50グラム、みりん20㏄、酢70㏄、ショウガの千切り、またはおろしショウガ少々、タカノツメ2本輪切り、塩コンブ1袋(33グラム)
2010年4月4日付紙面掲載