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「シイタケ」肉厚で香りも豊か

ハウス内の菌床で肉厚のシイタケが顔を出していた

「原油価格の高騰で灯油代が上がり大変なんですよ」。三川町の産直みかわにシイタケを出荷している小野寺正樹さん=押切上町=が苦笑いした。小野寺さんが作るシイタケは肉厚で高級感が漂う。この立派なシイタケが4個入って100~120円というからお客さんは幸せ者だ。

シイタケ栽培にはホダ木を使う原木栽培とおがくずを使った菌床(きんしょう)栽培がある。小野寺さんは後者。自宅近くの4棟のハウスでシイタケを育てている。

外気が低い今の時期はハウス内の温度に気を配る必要がある。「温度管理が良好なほど菌が動き、いいシイタケが取れる。3日で200リットルの灯油を使います」というから原油高は確かに痛い。それでも「安くていいものを求めて直売所に来るお客さんに転嫁はできない」と心意気をみせる。

自家製のおがくずの菌床にシイタケ菌を植えて100日ほど培養し、4カ月経過したころから収穫できる。重さ約2キロの直方体形の菌床から10パック分ほどのシイタケが取れる。

年間を通じて偏りなく出荷し、1年で使う菌床は約8000個。「自分一人でやるには限界」という数だ。収穫を終えた菌床はメロン栽培に転用される。

おいしいシイタケの見分け方について小野寺さんは「肉厚のものを選んでください。茎が太いほど実も厚いですよ」と言った後、「うちのシイタケは茎も食べられます」と胸を張った。

シイタケは和洋中、どんな料理にも合う。小野寺家の料理法を質問すると「食べてみてください」と母親の順さんがお膳を運んできた。五目ご飯、ステーキ、つくだ煮、つくだ煮のからし和えと4品が並んでいた。

さっとポン酢をかけたステーキを口に運んだ。ボリューム満点でシイタケ独特の香りが強い。おすすめの茎ももちろんいただく。繊維が気になるかと思ったが、口の中に残らない。「茎っておいしいもんなんだ」と実感した。五目ご飯も味がしみて、いい香りがする。つくだ煮は酒のつまみに合いそう。「まだ試作段階。かなり辛いですよ」というからし和えはぴりっときた。

シイタケの「ミニ御膳」を堪能していると、そばで話を聞いていた長女の希恵さんが「私はバター焼きが甘くて好き」と教えてくれた。「顔ぐらいの大きなやつをバターと塩でステーキにして、ナイフとフォークで食べさせると子どもは喜びます」と小野寺さん。なるほど、わが家でもやってみよう。

ワカメとのスープや茶碗蒸しにと、小野寺家ではシイタケは大活躍。夏には友人たちと庭先で炭焼きバーベキューをする。「みんなハウスに行き、食べる分だけ取ってきます」。生産者に与えられた特権だろう。シイタケは「低カロリーだからダイエットにもいい。食物繊維も含まれている」優れものでもある。

小野寺さんらは昨年、生産者仲間と町内のフランス料理店にシイタケのフルコースを出すよう掛け合い試食してみた。「前菜からメーンディッシュ、デザートのアイスクリームまでシイタケづくし。びっくりしたけど、おいしかった」と振り返る。以後、そのレストランではシイタケのコース料理を予約で受け付けるようになった。

「これからの農家には工夫が必要」が持論。産直みかわでは近く施設内に加工所を設ける。「シイタケを使ったお茶や総菜など遊び心を持ちながら商品を開発したい」と意気込む。今はメロンとシイタケの相性に着目している。「生ハムとメロンが合うと、ちょっと前まで気づかなかったでしょう。おいしくて喜ばれるものを作りたい」。新たな道を模索し、可能性を探り続ける。

小野寺さんのおすすめレシピ

五目ご飯

○材料(4人分)

米3カップ、鶏手羽肉150g、糸こんにゃく1/2、干しシイタケ2枚、ニンジン30g、サヤインゲン30g、薄焼き卵1個分、A(砂糖大さじ3、塩小さじ1、しょうゆ大さじ1.5)

○作り方

  1. 米は炊く30分以上前に洗っておく。
  2. 鶏肉は小切りにし、糸こんにゃくはゆでて食べやすい長さにざく切り、戻しシイタケとニンジンは細切りにする。
  3. サヤインゲンは塩をひとつまみ入れた熱湯でゆでて、斜めの細切りにする。
  4. 薄焼き卵は3~4cmの長さの細切りにする。
  5. 鍋に米と3カップ1/3の水、2とAを入れ、ざっとかき混ぜて普通に炊く。炊きあがったらよく蒸らし、器によそい3と4を散らす。

メモ 生のシイタケは冷凍しておくと便利。味も干しシイタケと変わらない。好みで薄揚げを入れてもよい。

2006年12月9日付紙面掲載

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