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「シュンギク」栄養価高い「優れもの」

今回、取り上げる素材はシュンギクだ。漢字で「春菊」と書く方がしっくりくるだろう。冬場の鍋物野菜というイメージがあり、「なぜこの時期に」と読者もお思いかもしれないが、取材を進めるうちに鍋物以外にも使える「優れもの」だと分かってきた。

「シュンギクは黄色い花を咲かせます。小さいけどとてもきれいで、見た目は名前の通りキクのようです」。酒田市の「ヨッテーネ」に出荷している相馬冨子さん=広野=が話す。

相馬さんら広野地区の7人の女性が10年ほど前、グループ「えぷろんまま」を結成した。手作りの弁当を注文に応じて配達している。使う農作物はすべて広野産だ。地産地消を先取りする形で活動してきた。

えぷろんままの弁当に登場する野菜にシュンギクは欠かせない。「彩りもいいし、栄養もある。天ぷらやあえ物などを入れています。シュンギクは香気があってとてもおいしいですよ」と胸を張った。

相馬さんは栽培歴20年を数える。露地とハウスを併用し、秋から翌年の4月初めまで途切れないように出荷時期を調整している。「露地物は成長が早く香気も強い。ハウス物は、香気は少ないが軟らかいです」と違いを教えてくれた。

鍋物と天ぷら以外の相馬さんのおすすめは、ごまあえ、白あえといったオーソドックスなもののほか「フライやあんかけのお供えにしてもいい」と話す。「香気が苦手という子どもでも天ぷらなら大丈夫。シュンギクは軟らかいので、離乳期の赤ちゃんからお年寄りまでOK。わが家の98歳のおじいちゃんも食べていますから」と笑った。

「さあ食べてみて」とテーブルにシュンギクを使った料理が並んだ。最初に天ぷらを口に入れると、さくりとした味わいで、ほのかな独特の香りが心地よい。おつまみにもご飯にも合いそうだが、温かいうどんに載せたいと思った。「熱いみそ汁に入れるとふわっと広がり、残雪揚げのようにきれいになります」と相馬さん。それもおもしろそうだ。

相馬さんのシュンギク料理。鍋物以外もとてもおいしい

白あえは上品な味わい、ごまあえはニンジンが入っているのにそれほど気にならない。これならニンジン嫌いの子どもでも食べられるかも。「秋はニンジンの代わりにモッテギクや黄菊を使うと色が映えます」。おひたしをポン酢でいただいた。さっぱりしていて、なるほど体によさそうだ。

相馬家では「はじき」のシュンギクを豆腐と一緒にみそ汁に落とすのが定番。「ゆでる時間は短く。煮すぎると栄養分が抜けるし、めためたになってしまいます」。これが料理の際のポイントだ。新鮮なシュンギクの見分け方について「根元の切れ目がみずみずしいもの。シュンギクはすぐに葉がしおれるのでピンとしているかも見て」と教えてくれた。

シュンギクは食べておいしいというだけでなく、赤ワインで有名になったポリフェノールをたっぷり含んでいる。つまり体内の脂肪を酸化し、血液がどろどろするのを防ぐ効果が期待できる。ビタミンAも豊富でβカロテンの含有量も野菜ではトップクラス。「優れもの」という理由がこれで分かっていただけるだろう。

「今年は豊作で安い」と嘆く相馬さんのシュンギクは200g入り80円。4月初めまでヨッテーネで販売している。

相馬さんのおすすめレシピ

シュンギクのごまあえ

○材料

シュンギク200g、ニンジン60g、調味料(ごま大さじ4、砂糖、みりん、酒、しょうゆ各大さじ2)

○作り方

  1. シュンギクは適当な大きさ、ニンジンは薄切りにして別々にさっとゆでる。
  2. ごまをすって、調味料を合わせる。
  3. 1と2を合わせる。

2007年3月17日付紙面掲載

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