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「モッテギク」秋感じる食感と香り

新米を筆頭に収穫の秋を感じさせる農作物は多い。「野菜」という表現が当てはまるのか疑問もあるが、今回は秋の食卓に欠かせない食用菊の中で「王様」と言われるモッテギクを取り上げる。

「キクはその時しか食べられないまさに旬のものですね。一番合うのはカラトリイモの茎とのあえ物。ゴマじょうゆで食べるのが最高だと思います」。酒田市八幡地域の産直たわわにモッテギクを出荷している菅原和子さん=寺田=を訪ねると、いきなり結論めいた言葉が出てしまった。どちらも秋の深まりを告げる食材。なるほどこの出会いに勝る料理法はないのかもしれない。

ご存じの通りモッテギクは「もってのほか」とも言われる。その由来は「もってのほかうまい」「天皇の御紋であるキクの花を食べるなんてもってのほか」など諸説があるらしい。正式名は「延命楽」。ビタミンと、カルシウムなどを含み、血圧や肝機能の低下、抗菌作用などへの効用が期待できる。

菅原さんは以前、早生から晩生(おくて)までを栽培していたが、「塩害があった3年前に晩生は全滅してしまいました」と少し寂しそうだ。

モッテギクの魅力を「食べる時しゃきしゃきと何とも言えない歯触りで、口の中でさくさくとした食感になる。それと香りが何にも代え難い味ですよね」と表現する。「それと小松菜などほとんどの葉物と合います。食べつけてなくてキクは苦手、でも葉物と一緒なら甘みが加わり大丈夫という人もいます。うちのお嫁さんもその一人でした。今はおいしいと言っています」。

新鮮なキクの見分け方について聞いてみた。「色とつやがいいもの、そして花びらが立っているのがいいと思います」。花びらが茶色いキクを見ることがあるが、「雨に打たれてそうなるものもあります」。鮮度と茶色はあまり関係がないようだ。

菅原さんの畑に連れて行ってもらった。モッテギク独特の紫色が鮮やかでいかにもおいしそうだ。確かに花びらの一部が茶色いものもある。「ほら、これがそうです」。

鮮やかな紫色のモッテギク。秋の深まりを感じさせる食材だ

モッテギクのゆで時間でいつも悩んでいる。もう少し、もう少しと思ううちに軟らかくなってしまうのだ。コツを尋ねると「せっかくの色が抜け落ちないように、煮立ったお湯に酢を入れます。キクを投入したら、2回ほどはしでかき混ぜてざるにあけます。時間にしたら10秒にも満たないと思います」という答え。「ざるでそのまま水を切ってください。私は時間がなくて手でしぼってしまいますが」と笑った。

菅原さんのおすすめレシピは大根との混ぜ漬け。「私はあえ物にする時が多いのですが、たわわのみんなが『これ、きれいだよ』と教えてくれました」。

菅原さんはゆでたモッテギクを1回分ずつラップにくるみ、そのまま冷凍しておくのだそうだ。「いつでも使えるし、味も変わりません。年末年始や急な来客の時に重宝しますよ」と教えてくれた。 鮮やかな紫色が食欲をそそる菅原さんのモッテギクは150g入り100円。たわわで今月末まで販売している。

菅原さんのおすすめレシピ

モッテギクと大根の混ぜ漬け

○材料

モッテギク80g、酢、大根400g、赤トウガラシ1本、塩小さじ2.5、 酒大さじ2

○作り方

  1. モッテギクの花びらを取り、洗ってから酢少々を落とした熱湯に通して冷ます。水気をしぼりすぎないように手のひらで軽く押さえる程度にする。
  2. 大根は皮をむき、太さにより4~6つ割りの5ミリサイズのイチョウ切りにする。
  3. 赤トウガラシは種を除いて薄切りにする。
  4. キクの花と大根と赤トウガラシを混ぜ、塩と酒をふり入れ、おしぶたと重しを載せて一晩漬ける。

メモ 大根の代わりに小カブやカリフラワーでも応用できる。

2007年10月13日付紙面掲載

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