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「小真木大根」ハリハリ漬けに最適

正月に欠かせない料理の一つがハリハリ漬け。全国的には切り干し大根を使うのが一般的らしいが、庄内の場合は歯ごたえがいい小真木大根が欠かせない。

「収穫までは楽だが、その後が大変。販売価格がひと桁違うぐらいの手数がかかります。1本350円の価値があると思いますよ」。鶴岡市の産直「もえん」で小真木大根を販売している齋藤等さん=日枝=が苦笑いする。

小真木大根はその名の通り、鶴岡市街地南部の小真木地区に伝わる在来野菜。色は普通の大根と同じだが、形は短く細い。収穫後、1本ずつ水洗いして皮をむいてから軒下などにつるす。

「釘で大根に穴を開けてからわらを通す。2本をペアにして干しているのでとても面倒くさい。うちでは両親に娘も加わって作業しています」というから、手がかかるというのも納得。「干し始めてから4、5日以内に気温が零度以下の日があると大根が凍り付き、使い物にならなくなる。霜よけシートをかぶせてやります」。天候にも気を遣うのだ。

軒下で風にさらすうちに風味が増していく小真木大根

風を受けて水分が抜けて風味が増す。「小真木大根は生だとすごく辛い。それが干すと甘みに変わり、たくあんに近い香りもつきます。不思議ですね」と笑う。

一時は辛み大根として都内に出荷され、そば屋や天ぷら料理店で使われていた。「ほかの辛み大根より水分が多いので重宝された。でも、全国各地の辛み大根が集まり、価格が下がって採算が合わなくなった。たくあんも今は自家用に農家が作るぐらい」。ハリハリ漬け用の出荷に絞っている。

ハリハリ漬けの作り方は、おすすめレシピにある通りだが、齋藤家ではまとめて作り置きするので分量が多い。家庭で作る時は分量を置き換えてほしい。

ただ、譲れないポイントがあるというので紹介する。「だしコンブとしょうゆは、多少値が張ってもいいものを使ってください。好みでスルメイカやカズノコを入れてもいいですが、あまり日持ちはしません。味付けは甘くしたり濃くしたりと各家庭の好みでどうぞ」とアドバイスしてくれた。

ハリハリ大根の魅力について「なんといってもしゃきしゃき感です」と話す。冷凍保存もきくのだそうだ。もえんでは「初めて見た人の第一声は『本物か』だそうです。年配の人が珍しがって買っていきますよ」。

大根に付いている葉っぱの利用方法はあるのだろうか。「年配者はゆでてから刻んで、けんちんにして食べるようです。食物繊維がたっぷり含まれていますよ」。これもおいしそうだ。

取材にうかがった時は出荷前だったため、昨年作り冷凍しておいたハリハリ漬けをいただいた。齋藤家ではカズノコもスルメも入れない。1年前の物とは思えないほどしゃきしゃきしている。シンプルな薄味で編集局内の評判も上々だった。

もえんには今月3日に第一陣が出荷され、即日完売した。古里の味を感じさせる齋藤さんの小真木大根は10本1連を250~300円で販売している。

齋藤さんのおすすめレシピ

小真木大根のハリハリ漬け

○材料

ハリハリ大根1kg、青豆2合、ニンジン500g、だしコンブ20g、しょうゆ4合、酒2合、砂糖少々、ゆで汁3升

○作り方

  1. ハリハリ大根を薄く切り、青豆を固ゆでする。
  2. ゆで汁にハリハリ大根を入れて戻す。
  3. しょうゆと酒を入れてさっと火を通し、砂糖を加えてから細く切ったコンブ、戻したハリハリ大根を入れる。
  4. 1~2kgの重しを載せる。1日おけば食べられるが、1週間後ぐらいが食べごろ。

メモ

好みでカズノコや細く切ったスルメイカを入れてもよい。

2007年12月8日付紙面掲載

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