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寒ダラ豊漁  価格低め

「前回のこのコーナーで、鮮度が寒ダラ汁の味に大きく影響すると知り、なるほどと思いました。でも、タラを新鮮なうちに食べられない場合もあると思います。上手な保存の仕方を教えてください」という質問を読者の方からいただきました。

タラに限りませんが、魚は食べるまで1匹丸ごとそのままにしておくと鮮度が落ちます。鶴岡の言葉で「はやす」、つまり解体して白子、アブラワタ(肝臓)、どんがらと切り分けるのがよいでしょう。家庭用の冷蔵庫は、開閉する回数が多いので温度の管理が難しく、魚の鮮度を保つのにあまり向きません。ボウルに氷を入れてその上にアブラワタや白子を乗せ、冷蔵庫にという方法がよいと思います。

スーパーなどで売っているどんがらのパックの場合も、切り分けて氷を敷いて保存するのがよいのですが、無理なときは汁の味を左右するアブラワタだけでもラップに包んで別にしてください。魚は、血合いや血管が早く腐敗するので、取り除いてしまえば、鮮度保持につながると思います。

どんがら汁は、作り置きすると生臭みが増し、身が煮くずれして汁もどろどろになります。とれたてはその日の夜の食べきりにして、翌朝は残ったどんがらでまた新しく作る方がおいしいです。豆腐やネギ、大根などを入れてみてもいいでしょう。

鶴岡会場の寒鱈まつりは地物が捕れたこともあり、例年以上に盛り上がったようです

さて寒ダラの水揚げ状況ですが、今年はタラの捕れるのが早いようです。いつもは北海道、青森、三陸ときて庄内は遅い方だったのですが、15日の鶴岡の寒鱈まつりに合わせたような大漁となりました。13日は鼠ケ関で1000箱、というように今シーズンで最高の水揚げでした。

市場の感覚ですが、タラは通常、雄より雌の方が多く揚がり、サイズも大きいのですが、今年は比率が逆転し、雄6に対して雌4になっています。大きさで言うと、雄は3kg台が多いようです。2kg台は雄130ケース、雌20ケースといったように、小さいクラスだと雄が圧倒的に多いのですが、3kg台で雄180ケースに雌140ケースと接近し、4kg台で雄70ケース、雌90ケースと逆転します。そして5kg台になると雄30ケース、雌80ケースと差が開き、最も大きい6kg台は雄5ケースに対して雌25ケースと5倍になります。

以上のことから今年の寒ダラ漁は小型で大漁と言えそうです。漁師さんの話だと来年もこの傾向は続くとのことです。気になる価格の方は、今年は青森、秋田といった他県のタラより庄内で捕れた地物が安いのです。消費者の皆さんにとってうれしいニュースではないでしょうか。鶴岡の寒鱈まつりでも庄内浜のタラが多く使われていたようです。

庄内浜のタラ漁では最近、漁獲後すぐに氷を入れた発泡スチロールに箱詰めする「沖詰め」という方法が増えています。タラは新鮮さが命ですから、船上で食すのが一番おいしいのでしょうが、沖詰めならこれに近い形になります。漁師さんも鮮度保持を意識して研究しているのですね。

庄内浜は今、タラ一色ですが、ほかにスケトウダラやホッケが若干揚がっています。本来、春先の魚であるタコ、マスも捕れるなど、タラだけでなくいろんな魚が例年より1カ月ほど早いようです。

タコは、港で生きているうちに頭を取って足とに切り分けます。足は頭の6倍ほどの値が付きます。前回、お話ししたように、刺身やしゃぶしゃぶなど生食用の需要が増えたことへの対応でもあるようです。

酒田でナマコが揚がっています。ナマコには赤と青があり、赤ナマコは生食で地元でも消費されますが、青ナマコは酢漬けなど加工用として他県に出荷されます。アンコウが年末の3分の1ほどに価格が下がりました。以前も話題にしましたが、肝の味は格別ですし、身の方も鍋や吸い物にしてぜひ食べてみてください。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年1月21日付紙面掲載

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