文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

煮付けもおいしいヒラメ

>> 「カレイ1」 種類も呼び名もいろいろ からのつづき

ヒラメもカレイ目の魚です。鶴岡のお年寄りには大きいサイズのヒラメをマガレイと呼ぶ人がいます。マガレイとはクチボソの全国名です。「マガレイちょうだい」と言われ、クチボソを渡したら「そこのマガレイだ」とヒラメを指さされ、びっくりした経験があります。年齢が80歳以上の人に限定されるようです。

体型で区別がつくかと思います。左からヒラメ、ヤナギ、メイタです

小さなヒラメを市場ではベタコ、ウミコと呼んだりします。ベタコは価格が安く、クチボソ以下の値で買えることもあります。安いので、仕出し屋さんはおろすのに手間がかかっても刺身にすることもあります。低料金の仕出し弁当や料理などにヒラメが入っていれば、お客さんが喜んでくれるということもあるかもしれません。「ヒラメは刺身」と思いがちですが、煮付けにしてもおいしいです。料理屋さんには邪道だと言われるかもしれませんが…。ヒレ付近のエンガワはゼラチンを含んでいて美味とされています。

秋においしいダイバガレイは、全国的にはムシガレイと呼ばれ、東北地方ではミズガレイと言います。ヤナギガレイは、鶴岡市内でクリノキハという呼び方をします。クリの木の葉に似ているところからきています。秋田ではクビナガとかヤナギムシガレイと呼んでいます。

以前に紹介しましたが、マコガレイは鶴岡でエンショウ(円正)ガレイ、酒田でネサシ、海沿いにある由良、鼠ケ関などではモク(木)ガレイと呼ばれています。全国ブランドの大分県の城下ガレイは、日出町で捕れるマコガレイのことです。江戸時代から「その美味は比べる物なし」と言われてきたそうです。なぜおいしいのかというと、海底から真水がわき出るところがあり、魚の餌が豊かだからと言います。

鶴岡の由良沖でも地面の下から泡が出ているところがあるそうです。餌となるプランクトンの活動が活発になり、魚がおいしくなる環境が整っているのです。

クチボソは、全国ではマガレイ、東北の太平洋岸でアカジガレイ、山陰地方でアマテガレイと呼ばれています。旅先で食べた魚が呼び名が違うだけで、実は同じ魚だったということもあり得るわけです。イシガレイは、夏以外は青臭みが出て食べにくくなります。刺身にて食べます。背中に石のような骨盤があることから付いた名前です。

今もカレイはけっこう揚がっていますが、これからの時期は味を付けるようにした方がおいしいと思います。唐揚げや中華風、天ぷらなどにアレンジするのもいいでしょう。クチボソも秋田では煮付けにしたりします。冬の終わりに産卵した魚は春から夏にかけて栄養を蓄えて秋においしくなるのです。まさに食欲の秋です。

この時期タイムリーなのがエビです。衣が柔らかくなっているものもあります。アマエビだって刺身と頭のみそ汁以外の料理法があります。ゆでてサラダに、カルパッチョにと、トッピングに使ってみてはどうでしょう。塩ふり焼きにして頭から丸ごと食べると、エビみそが味わえるのでおいしいです。アマエビは今、通常の半値ぐらいと安く、お求めやすい時期だと思います。

今月2日、秋田からコアミが初入荷しました。去年より1カ月近く早く、ほかの魚と同じ傾向にあるようです。まだ価格は高いです。これから酒田、由良と南下していきます。クロエビなど早春の海産物が待たれます。春は近いはずです。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年2月10日付紙面掲載

トップページへ前のページへもどる
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field