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==サケ編(下)==脂乗って美味な頭

皆さんは北海道で捕れる鮭児(けいじ)というサケを耳にしたことがありますか?「幻のサケ」と言われ、1万匹に1、2匹しか掛からないのです。一般のサケの脂肪分が2~15%なのに、鮭児は20~30%と高く、脂がすごく乗っています。ただし、価格は1キロ当たりで2万円を優に超えます。3キロの鮭児だとウン万円にもなるわけです。高級なすし屋さんですしネタに使われているようです。私も食べたことはありません。鮭児は、日本の河川ではなく、ロシアのアムール川で生まれたサケが日本に来たものだと判明しています。

前回もお話ししましたが、サケの水揚げ量は北海道が一番で、人々の生活にも深くかかわっているようです。アイヌ民族はシロザケを「神がくれた魚」と言って信仰していました。シロザケは骨以外に捨てるところがありません。骨からだし汁が出ると考えると、すべてが食用になると言ってもいいと思います。

私はサケでは頭の部分が一番おいしいと思っています

私は最近、捨てられることが多い頭が、サケの中では一番おいしいと思っています。会社で捨てられているのをもらってみそ汁にしたり、しょうゆで煮付けたりして食べます。塩ふり焼きも脂が乗っていて美味です。お店ではあまり売っていないと思いますが、見つけたらぜひ食べてみてください。尾と身の味の比較は無意味というほどおいしいです。ただし、身は少ないのでむしゃぶりついてください。私はそうしています。酒のつまみに最高です。

サケの生食にルイベという料理法があります。ただし、アニサキスという寄生虫がいることがあるので冷凍する必要があります。厚生労働省は生食の場合、マイナス20度以下で24時間冷凍してから食べるように指導しています。家庭用冷蔵庫だと開閉が多いため、温度が一定に保たれない可能性があり、あまりおすすめできません。アニサキスは高温では60度以上に達すると死滅すると言われています。おすし屋さんなどで生のサーモンがすしネタになっている場合、1度冷凍してから解凍されたものです。

サケはこの辺の魚食では大きな比率を占めているので、いろんな食べ方をしています。私は、サケの料理コンテストや家庭の伝統的な食べ方を紹介する場があるといいのではないかと思っています。庄内で今、魚食文化が、消費者の方たちに伝わるような取り組みがなされているように感じます。県庄内総合支庁が認定する庄内浜文化伝統師も事はたくさん誕生したと聞きます。魚、そして魚食が消費者の皆さんにさらに身近なものとなることを願っています。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2008年11月7日付紙面掲載

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