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国産イワシ3種が流通

読者から「大黒様の時に食べたイワシの丸干しがいつものと違っていました。全身が小さいうろこに覆われている感じで、顔つきも違うのです。家族は『安いウナギのような味だ』と言っていました。本物のイワシの丸干しだったのでしょうか。川魚で代用した可能性はありますか」という質問をいただきました。

イワシの干物には丸干しと目刺しの2種類があります。丸干しはご存じのように塩に漬けて一匹丸ごと干したものです。目刺しは小さいイワシの目に穴を開けて、わらに通して干します。今はわらの代わりにプラスチックを使ったりもします。

国内で流通しているイワシは3種類に分かれます。皆さんが一般にイワシと呼んでいるのはマイワシのことだと思います。あとの2つはウルメイワシとカタクチイワシです。ウルメイワシは目が大きくてみずみずしく、涙がたまっているような感じです。マイワシより肌が光っているので区別がつきやすいと思います。カタクチイワシは背黒イワシとも呼ばれます。その名の通り背中が黒く、細くて小さいのです。

ウルメイワシの丸干しです。目が大きいのが特徴です

読者の方が召し上がったのはたぶん、カタクチイワシだと思います。ちょっとくせがあり、マイワシより脂ののりは少ないのです。煮干しや焼き干しにも使われます。好きな人はとてもおいしいと言いますが、マイワシをイメージして食べると、「えっ」となるかもしれません。川魚で代用するということはありません。カタクチイワシより川魚の方が値段も高いからです。

マイワシにはアメリカから輸入されたものも一部にありますが、大半は国産です。水揚げの1位は千葉県銚子港、2位は茨城県波崎港です。イワシの語源には諸説があるようです。イワシは漢字で鰯と書きます。陸に水揚げされるとすぐに弱ってしまうことから「弱し」が鰯に転じたというのが1つ。身分の低い人が食べていたので「卑しい」からイワシになったという説もあるそうです。

マイワシは、国内では1988年ごろが漁獲量のピークで、今は数十年とも100年とも言われる不漁の周期に入っているようです。イワシが少なくなっているのは食物連鎖が原因ではなく、気候の変動とそれに伴い、えさになるプランクトン資源の減少に関係があると言われています。あまり捕れないこともあり、生のイワシが売られる時期も短くなっています。イワシにはDHAとEPAが豊富に含まれているので、最高の健康食と言ってよいでしょう。

節分の時期にイワシの頭を魔よけに使うという文化を持った地域もあるようです。同じく魔よけに使われるヒイラギの葉のぎざぎざとイワシの小骨のとげを玄関に置くことで、鬼が家の中に入って来るのを防ぐという意味があるようです。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2009年1月5日付紙面掲載

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