文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

安くてうまいイシモチ

読者から「スーパーで切り身になった魚しか見る機会がないので、魚の旬があまり分かりません。春のこの時期、マス以外でおいしい魚はなんでしょう。簡単な料理法も含めて教えてください」という質問をちょうだいしました。

尾頭付きの魚を買って、家で頭を落として、3枚に卸すということがなくなりました。スーパーでは需要に応える形で切りにして販売しています。残念ではありますが、需要との関係もあるので仕方がないことだと思います。

今の時期におすすめなのがイシモチ。ぜひ味を知ってほしい魚です

今、おいしい魚で一番に挙げたいのがイシモチです。関東ではグチと呼ばれています。この辺では雪解け水が海に流れる時期のイシモチを「雪しろイシモチ」と言います。これがとてもおいしいのです。一見。銀色で美しいとは言えません。でも、白身で脂がのってくせがなく、食べやすい旬の魚です。白身魚全般に言えますが、刺身はもとより塩ふり焼きにしてもよい「知られざる旬の魚」です。安くておいしいので、ぜひ覚えていてほしいと思います。魚のことをよく知っている仕出し屋さんで、刺身に使ったりしているところもあります。

ある料理屋さんに聞いた調理法を紹介しましょう。切り身にしたイシモチに塩をふり、身をしめます。こうすることで体内から余分な水分が抜けるのです。お皿にコンブを敷き、イシモチの切り身と豆腐、シイタケなどを乗せ、酒を入れます。そして10分ほど蒸します。おろしポン酢で召し上がると、ふだんとは違う味を楽しむことが出来ます。

蒸すという方法は味を逃がさず、煮汁も出さないおいしい食べ方です。マスも素焼きにすることが多いと思いますが、蒸して食べるとうまさがひと味違います。栄養分も外に出ないので体にもいいし、味の面でもよいやり方です。

次におすすめしたいのがカナガシラです。みそ汁にするケースがほとんどだと思いますが、焼いてもおいしい魚です。ただ、固いのでうろこを取るのが大変です。家庭用の包丁では難しいかもしれません。身を開いて揚げ物にするのもおいしい食べ方です。小骨が多く、出しを取って身は捨てるという人もいるかもしれませんが、今は脂ものっているので、ぜひ身も食べてほしいと思います。

もう一つ料理屋さんに聞いた「裏技」をお教えしましょう。うろこを取ってあぶったカナガシラをつけ麺などのつゆに入れて火を通してください。トビウオ以上においしいダシが出ます。稲庭うどんや麦きり、そうめんのたれにしてどうぞ。

春の味の代表にイイダコがあります。しょうゆで煮付けにして食べるのが一番ですが、腹に抱いている卵に味がしみないとおいしくないので注意してください。夏の魚であるアイナメもおいしくなってきました。刺身やつけ焼きで食べてください。カレイ類は大半が旬から遠ざかっていますが、マコガレイもおいしくなっています。鶴岡でエンショウ(円正)、酒田でネサシと呼ばれています。刺身には多少くせがあるかもしれません。今の時期のカレイでは、メイタが身も厚く一番おいしいでしょう。煮物や刺身もいいですが、みそを付けた田楽焼きを試してください。わが家ではメイタはいつも田楽にして食べます。白い方の面にみそを付けてから焼きます。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年4月16日付紙面掲載

トップページへ前のページへもどる
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field