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間もなく待望のズワイ漁

読者から「初冬になると、山陰地方で松葉ガニ(ズワイガニ)漁が解禁になりました、というニュースが流れます。庄内浜でもカニ漁の解禁日というのはありますか。ほかにも庄内浜で捕れるおいしいカニがあれば教えてください」という質問をいただきました。

庄内浜のズワイガニ漁は、10月から4月末までが漁期で、解禁日はその年によって違います。今年の解禁日は10月1日です。庄内ではズワイガニは底引き網漁で揚がります。でも、1日当たりの網を引く回数は決まっており、無制限に捕れるわけではありません。ズワイガニは、全国的に雄と雌で呼び名が違います。庄内では雄をヨシガニ(芳ガニ)、雌をメガニと言っています。質問にもあったように、ズワイガニの雄は山陰地方では松葉ガニと呼ばれます。福井県で捕れるズワイガニは越前ガニです。どちらも地方名ですが、ブランドにもなっています。ズワイガニは、これから冬にかけておいしい庄内の味覚と言ってよいでしょう。

待望のズワイガニ。庄内浜では今年は10月1日に漁が解禁されます

漁獲量は少ないですが、庄内でも底引き網漁の期間中に毛ガニが捕れます。買う際は雄は楕円形、雌は円形に近いもの、そして甲羅が硬くて、重いカニを選ぶようにしてください。ワタリガニも庄内でよく揚がるカニの一つで、標準和名はガザミです。夜行性で昼は砂の中に潜っています。秋は雄、春は雌がおいしいと言われています。

ワタリガニには面白い言い伝えがあります。「月夜のカニは身がない」と言われているのです。科学的根拠があるわけではありませんが、あながち迷信とも言えない面もあります。「うそのような本当の話」です。これとはちょっと違いますが、アジは満月に捕れないと言われています。

庄内で白ガニと呼んでいる小さなカニの標準和名はヒラツメガニです。地方名が多いカニで、甲羅にある溝の形がアルファベットのHに似ていることから、自動車メーカーにちなんでホンダガニとかHガニとも呼ばれています。カニみそがおいしく、ぶつ切りにしてみそ汁にすると、濃厚な味わいになります。

庄内ではただ1隻、紅ズワイガニを狙って操業している船が鶴岡市加茂港にあります。100トン以上の大きな船で、かなり沖合まで出掛けて行きます。紅ズワイガニは、形はズワイガニにそっくりですが、ゆでる前、つまり生の状態でも体の色が赤いのが特徴です。深海に生息していて、ズワイガニが水深200~600メートルの海にいるのに対し、紅ズワイガニは水深1000メートルもの深い海域にすんでいるのです。ズワイガニより身に水分が多く含まれていますが、甘みは負けません。ズワイガニに劣らないおいしいカニと言ってよいでしょう。

最近、カニを勝手に送りつけて代金を請求する「カニカニ詐欺」という新手の犯罪が発生していると聞きました。それとは別に、カニを注文したところ、代金に見合わない品質の悪いカニが送られてくることもあるそうです。何も遠くから通信販売でカニを取り寄せる必要はありません。庄内では安くておいしいカニが年間を通じて捕れます。遠くの通販より顔が見える魚屋さんです。最寄りのお店で四季折々のおいしいカニを買い求めることをおすすめします。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2010年9月22日付紙面掲載

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