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いいだしが出るイガイ

今が旬のイガイ。とてもいいだし汁が出ます

読者から「子どものころ、夏になるとイガイのみそ汁をよく食べました。今、店頭で見ると、イガイは高価な貝に思えます。昔からそうだったのでしょうか。みそ汁以外にもおいしい食べ方はありますか」という質問をいただきました。

イガイは庄内ではエガイ(笑貝)、エゲとも言います。浜の人の話だと、一般に貝はさわろうとすると口を閉じますが、イガイは反応せず笑っているように見えるのでエガイと呼ぶそうです。確かに2、30年前はたくさん捕れて値段も安かったようです。今も海に多くいる貝なのですが、漁師さんが岩ガキやアワビ、サザエなど金額の高い貝を狙うためあまり揚がりません。流通量が少ないので、店頭では昔よりは高くなっているのでしょう。

イガイはとてもよいだし汁がでますから、汁物がおいしいのですが、焼いてしょうゆをかけてもいけます。季節の野菜と一緒に煮物にしてもよいようです。パエリアやグラタンにしてもおいしいといいます。通常、生食はしません。

料理屋さんに聞いた話ですが、サザエご飯にイガイを使うことがあるそうです。サザエはだしが出ない貝なので、代わりにイガイの煮汁をかけてご飯を炊き、サザエの身を乗せて出す店もあるそうです。意外な「裏技」ですね。

サザエをつぼ焼きにする時、身が取れないという経験をしたことがあると思います。一度ゆがくとすぽんと取れます。そして貝に戻して焼くという方法があります。ゆでるとおいしくなくなるんじゃないか、と思うかもしれませんが、そんなことはありません。私もやってみましたが大丈夫でした。ゆでてスライスして刺し身にしてもいいのです。ゆでることでうまみが出る貝もあるんですね。

岩ガキはフライではなく、やはり生で食べてほしい貝です。殻付きを求めた時は、身は必ず水洗いしてください。食中毒にならないための鉄則です。おいしい物を食べても、お腹をこわしてしまっては何にもなりません。レモンをしぼったり、カキ酢にしてどうぞ。素焼きもいいし、マヨネーズを塗って焼いてもおいしいそうです。

ニシ貝も最近高くなりました。海辺で見かけるので、買って食べるものではないと思っている人もいるでしょう。みそ汁やしょうゆで甘辛く煮付けて食べます。お盆のころには産卵のため同じ場所に固まるので、大量に捕れて安くなります。今の庄内浜はモズクが終わり、イゲシ(エゲシ)が出てきました。季節柄、貝類と海草類が豊富です。

次にアマダイを取り上げたいと思います。この辺では重さ200gぐらい、姿焼きにするサイズが好まれます。大きいものほど脂がのり、おいしいのですが、キロ単価も高くなり、1匹5000円ぐらいするものもあります。塩ふり焼き、みそ漬けなど付け焼きのほか、昆布締めにして刺し身でいただくこともできます。カブや大根と一緒にすりおろして卵白を入れ、蒸し物にもしますし、バター焼きにしてもおいしいです。

コダイも今がおいしい時期で、しかも最近は安くなっています。塩ふり焼きが一般的ですが、サバと同じように酢締めにも向きます。3枚におろして塩をふり、5、6時間酢に浸してください。唐揚げやバター焼きにしてもいいです。最近、結婚式などめでたい席でコダイが使われることが少なくなりました。祝い事が簡素化されたことに加え、小骨があって食べにくいというのも敬遠される理由でしょう。今はクチボソの半値ぐらいで買うことができるので、ぜひ食べてほしいですね。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年7月30日付紙面掲載

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