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タウリン豊富なタコ

読者から「スーパーでは一年中、タコを見かけます。庄内でもたくさん食べられているのでしょうか。新聞の市況欄には載っていませんが、庄内でもたくさん捕れますか。旬とおいしい食べ方を教えてください」という質問をいただきました。

庄内では年間を通じてタコが捕れるといっていいかと思いますが、時期によって漁法が違います。タコは割と沖合にいるので、9月にトローリングが解禁されてから2月途中までは底引き網漁です。2月には産卵を控え、岸に寄ってきます。それから9月まではタコ縄漁とか刺し網漁に切り替わります。

日本人はタコをよく食べる国民と言われています。兵庫県の明石や北海道など有名産地と違い、庄内浜では年間を通じて水揚げはあるものの地場消費程度です。消費量も大産地ほどではありませんが、お祭りや正月にはよく食べるようです。

タコは大きく分けてマダコとミズダコ、ヤナギダコの3種類に分けられます。マダコをこの辺ではイソダコと呼んでいます。「明石のタコ」というのもこのタコのことで、タコの中で一番おいしいと言われています。

タコはゆでると赤くなりますが、ミズダコとヤナギダコはお湯に入れる前から茶褐色というか赤っぽいのです。イソダコは赤いというより黄土色、どちらかというと茶色に近い感じです。イソダコはこの辺では3、4kgの小型のものしか捕れません。

庄内産のタコの大半はミズダコです。ミズダコの場合、雌の方が高価でおいしいと評価されています。雌は煮ダコにしてもおいしいです。雄は水っぽいので最近、はやっているしゃぶしゃぶ向きで、生か半生で食べるのがよいようです。

ヤナギダコの多くは太平洋に生息しており、庄内では一般のタコより沖合、飛島や粟島より沖の「タラ場」にいます。しょうゆなどで味付けして食べることをおすすめします。

おもしろいタコ漁を紹介しましょう。飛島では棒の先に赤い布を結んで磯のタコ穴に刺し、それに絡み付いてきたところを引き揚げるのだそうです。島には家伝のタコ穴があり、嫁入り道具の一つでもあったといいます。

写真ではわかりにくいですがミズダコの雌です。雄より高値で取り引きされています

タコの消費量は世界の中で日本がナンバーワンで、その割合は国内物1に対し、アフリカ産を中心に外国産が2となっています。古くから女性の好物は「芝居、こんにゃく、タコ、イモ、かぼちゃ」と言われてきたそうです。それほどタコが日本人に愛されたことの一例と言えるでしょう。タコは、足(生物学的には腕かもしれません)で雌雄の区別がつきます。8本ある足のうち右から3本目の先端に吸盤がないのが雄です。

タコは低脂肪、低カロリーで、タウリンを多量に含んでいるので血圧を下げ、動脈硬化の進行を遅くしたりします。アルコールの分解も助けるので、酒のつまみにもいい食べ物と言えます。小豆島には1匹を丸ごとゆでてみんなでむしりながら食べる丸ゆでという食べ方があるそうです。淡路島では酢の物にしてよく食べます。タコは刺し身というイメージがあるかもしれませんが、しゃぶしゃぶや和え物、から揚げなど体にもいいのでいろんな料理法で味わってほしいと思います。

庄内浜の近況をお知らせしましょう。ハタハタの水揚げが不調で、秋田では今期の漁獲枠を500トン削減しました。1992年から3年間禁漁にした結果、水揚げが回復してきたのですが、資源が減っているという予想が出たので削減することにしたようです。季節はずれていますが、サワラの水揚げが好調です。メジマグロもまだ捕れています。タラとサケは値が高いのですが、サケの価格の高騰は店頭では感じないかもしれません。タイとヒラメがおいしくなってきました。どちらもたくさん捕れて安いので、毎日でも食べてほしいと思います。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年11月8日付紙面掲載

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