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雄ザメは刺し身もOK

読者から「スーパーにサメが並んでいます。昔は家でみそ漬けにして焼いて食べました。最近は値段が高いようにも感じます。庄内で捕れるサメの種類、みそ漬け以外の食べ方も教えてください。刺し身でもおいしいのでしょうか」という質問をいただきました。

サメは、12月から1月、つまり今が旬です。2月に入ると、腹に卵を持ちます。昔は1日で何トンという単位で揚がったそうです。今は何箱ですから規模が違います。サメがいなくなったのかは分かりませんが、以前のように捕れなくなっているという状況です。飛島ではサメを狙う刺し網漁もありますが、鼠ケ関では底引き網漁でほかの魚に混じって捕れるぐらいです。漁獲量が減り、価格が上昇したとも言えるかと思います。

庄内で捕れるサメの大半はアブラツノザメです。人食いザメとは違うサメをイメージしてください。昔から食用として捕獲されてきました。みそ漬けにするのは雌です。魚体が大きく、10kgを超えるものもあります。身質が軟らかく脂も多いので、みそ漬けにして焼く以外に煮物、みそ田楽、バター焼きなどにしてもおいしいのです。雄の方は身が硬く、赤い色をしています。色がいいので、刺し身やぬたあえなど生食に向きます。鮮度は色で見てください。身が赤いものが新鮮なのです。

サメは日持ちするので、山間部には年末に刺し身で食べる地域もありました。旧温海町の越沢地区では今でも大みそかにサメの刺し身を食べるそうです。流通が発達していない時代、海から離れた地域の人たちが年末に食べる刺し身に適していたということなのでしょう。

サメは生殖器が外に出ているので、雄と雌は外観で区別できます。卵を体内でふ化します。一度に十数個の卵を持ちますが、一気にではなく、少しずつふ化していきます。2月の産卵期に雌ザメの腹を割くと、ふ化したサメの子どもが混じっていることがあります。これをデグラと呼びます。

庄内より秋田の方がサメの消費量は多いようです。水揚げの方はというと、宮城県の気仙沼港が全国の8割の漁獲量を占め、年間2万トン、金額ベースで30億円の取引があります。漁は、サメそのものを狙うのではなく、マグロの副産物として捕れるそうです。気仙沼は中華料理の高級食材であるフカヒレで有名です。フカヒレにはヨシキリザメを使うことが多いそうです。ほかにモウカザメというサメも捕れます。心臓をホシと呼び、生のままスライスして、酢みそあえやワサビじょうゆで食べると、牛や鳥のハツの刺し身のような食感だそうです。

サメの肝臓にはスクワレン(高級不飽和脂肪酸)という成分が含まれていて、化粧品や健康食品に使用されています。軟骨にはコンドロイチン硫酸という成分があり、痛風の治療にも使われているそうです。サメは「狭目」が語源で、体に比べて目が小さいことにちなんで付いたようです。

サメは今が旬。庄内で捕れるサメの大半はアブラツノザメです

アブラツノザメは、さめ肌というように、皮ががさがさしています。頭の切断や皮をむくには高い技術が必要です。細かく包丁で切れ目を入れ、軍手をしてゆっくりはがさないとだめです。私も1匹の皮をむくのに15分ぐらいかかります。浜の女性たちでも手間と時間がかかり、皮をむける人も少なくなってきたそうです。素人では無理と思ってください。それも値が上がった原因の一つかもしれません。刺し身で食べたいという方は、お店に頼んでみるのがよいでしょう。寒鱈まつりが近づいてきました。次回はタラを取り上げたいと思います。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年1月12日付紙面掲載

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