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安くておいしいカジキ

読者から「料理本でカジキマグロが素材として載っているのをよく見ますが、食べたことがありません。おいしいのでしょうか。庄内でも捕れますか」という質問をいただきました。

庄内ではカジキマグロ(カジキ)の中で、バショウカジキというカジキが揚がります。本マグロ(クロマグロ)、ビンチョウマグロ、バチマグロ、キハダマグロは皆さんも聞いたことがあると思います。これがマグロ類です。名前にマグロと付いていますが、カジキは実はマグロではありません。メカジキ科とマカジキ科に分かれます。庄内地方では昔から、カジキがマグロの代わりに食べられてきました。極論するとマグロ=カジキといってもいいぐらいでした。バショウカジキが水揚げされていたので、カジキが食べられるようになったと言われています。

カジキは6種類に分かれます。最も消費されているのがマカジキです。カジキの中では最高で、高タンパク質、低脂肪が特徴です。次がフウライカジキ。肉質が刺し身向きではないため練り製品など加工用に回されます。クロカジキはスポーツフィッシングに登場し、特にハワイ周辺が盛んです。シロカジキもスポーツフィッシングで知られ、オーストラリアのグレートバリアリーフ辺りでよくかかるそうです。

先ほど出てきたバショウカジキは、価格が安くおいしいというありがたい魚で、鶴岡の市場でも扱っています。そして最後がメカジキ。世界中でステーキ用に使われています。ただ、水銀の含有量が他の魚介類より多いので、妊婦さんにはあまりおすすめできません。一般の方は気にする必要はないと思います。

カジキを捕る漁法で一番多いのはマグロはえ縄漁法です。次が大目流し漁。ほかに突きん棒漁、巻き網漁の4種類があります。漁法は季節や地域で違います。

カジキは、水深100メートルほどのところを泳ぎ、夏は緯度の高い海域にいて、冬は緯度の低いところで産卵します。カジキは外見では雄雌の判別ができず、解体して初めて分かります。魚体の大きいものはすべて雌と考えていいようです。

庄内以外でカジキをよく食べるのは秋田や富山と言われ、水揚げがあるため食べるようになったのでしょう。私見ですが、庄内の場合は刺し身は白身魚という土地柄で、マグロを重要視していなかったため、地元で捕れるカジキを食べていたのかもしれません。マグロに比べカジキは変色しにくく、本マグロに比べて安いということもあっただろうと思います。

カジキは今、スーパーではほとんど売っていませんが、旅館や料理店、仕出し屋さんでは使っているところもあります。知らないうちに食べているかもしれません。カジキを使うというと「えー、カジキか」と低く評価する地方もありますが、いいカジキはとてもおいしいのです。私は赤身だけのマグロよりカジキの方が好きです。

私も大好きな安くておいしいマカジキ。年末にかけて気仙沼からたくさん入荷します。

夏から冬にかけて旬で、産卵を終えた春は時季外れとなります。今の時期のカジキはおいしい上、庄内にはこれから年末にかけて本マグロやバチマグロよりマカジキがたくさん入ってきます。安くておいしいカジキも食べてほしい魚です。

庄内浜の状況ですが、酒田でははえ縄漁でタラが結構捕れてきました。身の方はとてもおいしくなっており、白子は多少未熟なもの、マダラは小ぶりのものが含まれていますが、徐々によくなってきます。波が高くしけになると、底引き網船は岸に近いところで操業します。これを「丘引き」と言います。このときに赤物(タイコやタイ)が大漁ということがあります。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年12月13日付紙面掲載

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