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庄内浜でもタチウオ

読者から「スーパーの魚売り場でタチウオ(太刀魚)という魚を見ます。きれいな銀色をしているなあと感心していますが、なかなか手が出ません。おいしいのでしょうか。おいしいとしたら料理法も教えてください。地物もありますか」という質問が来ました。

なかなか手が出ないというのは、値段のことを言っているのでしょうか。その前提で話をしますと、地物のタチウオは価格が安く、消費地である南で捕れたものは高いのです。魚の場合、消費地で水揚げされると値段も高いと思っていいと思います。たとえばタラを考えてください。寒ダラのシーズン、庄内浜で水揚げされたタラが地元より県外で安く売られるということはありません。

タチウオは庄内浜でも捕れます。銀色のきれいな魚です

産地から出荷する場合、魚を入れる箱や品質保持用の氷、保護するために使うパーチと呼ばれるナイロンも必要になり、さまざまな経費が上乗せになります。もちろん輸送費だってかかります。話がわき道にそれますが、ガソリン価格の高騰や暫定税率復活の影響も大きいのです。練り製品をはじめいろんな商品の値段が上がり、われわれの業界も深刻な状況を迎えています。

タチウオに話を戻しましょう。もともとは南の方が産地で、こちらでは捕れませんでした。南方系の魚と言えるかもしれません。近年、小型のものを中心に、庄内浜でも揚がるようになりました。漁獲量はと言うと「今日、タチウオがあるじゃないか」という程度で、珍しい魚の部類に入るでしょう。スーパーなどの小売店に並ぶ立派なサイズのものは「消費地産地」から来ているものが多いと思います。

タチウオは全長1メートルに達するものもいるので、結構大型の魚と言えます。カミソリのような切れ味鋭い歯を持っているのが特徴です。日中は深場にいて、夜になると餌をたくさん食べて活発に動き回ります。夏が旬で、刺し身、塩焼き、すり身にして揚げ物、煮付けなどさまざまな料理法があるようです。体の表面にある銀箔(ぎんぱく)のような色素からグラニン箔を作り、銀箔に利用するそうです。

夏が旬という魚は一般的に脂肪分が少ないのですが、ウナギ、アナゴ、ハモなどは例外的に脂肪分が多いのです。これらには体が長いという共通点があり、タチウオもこの中に含まれます。穴や砂の中にすんでいるので運動量が少なく、脂肪の量が多いのです。タンパク質より脂肪が勝っています。このような魚はマグロのトロ、サンマぐらいしかないと言われています。でも魚の脂肪は、食べても太るというものではありませんから、メタボを気にせずどんどん召し上がってほしいと思います。

タチウオの都道府県別漁獲量の上位は、和歌山、愛媛、大分、長崎の順で、大分が名産地として有名です。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2008年5月27日付紙面掲載

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