黒土三男監督の映画「蝉しぐれ」のメーンロケ地となった鶴岡市羽黒町の松ケ岡地区に、映画撮影用の「オープンセット」がつくられた。かやぶき屋根の風情豊かな「昔の家」を再現したもので、2005年4月から一般公開されている。
オープンセットは03年秋、枝豆畑だった約1万平方メートルの土地を整備し、製作会社がかやぶき屋根の屋敷を5棟建てた。建設後、自然の風合いを出すために、ひと冬置いてから本格的なロケをスタート。主演の市川染五郎さんや女優の木村佳乃さんらが熱演した。
その後、映画の公開まで保存を望む製作会社と、地域の観光振興につなげようと地元の自治体などで組織する「庄内ロケ支援実行委員会」(委員長・酒井忠久致道博物館長)の思いが一致し、撮影終了後も取り壊さずにセットを残すことにした。ロケが撮影されていたころは、セット内の立ち入りは禁止され、敷地の外からの見学しかできなかったが、一般公開後は屋敷の雰囲気を目の前で見れるようにしてある。
一般公開されてからは地元や県外客の注目を集め、いまでは観光名所のひとつになっている。セット内では、観光客が記念撮影を楽しんだり、趣のある屋敷を興味深げに見ながら映画のワンシーンに思いをはせたりしている。入場には維持管理の協力費として200円を求めている。
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