大根が好きという人は多いと思う。煮物や漬物を中心にどんな料理にも合うが、中には「生が一番」と言う人もいるかもしれない。そんな大根好きにぜひ味わってほしいのがサラダ大根だ。
「初めて作る時、中も赤だと思って楽しみにしていたのに出来上がったら白かった。ちょっとがっかりしました」。鶴岡市の百万石の里「しゃきっと」でサラダ大根を販売している佐藤ひろ子さん=茨新田=が苦笑した。
サラダ大根は赤い。しかし、真っ赤ではなく、赤カブを思わせる紫色に近い赤。色は3段階に分かれている。上の方が赤紫で真ん中部分はやや薄い紫、そして先っぽは青首大根のように白い。「光の関係でしょうか。地中に近くなると白くなっていきます」。
種屋さんのすすめで栽培を始めて4年目。「最初は売れなくて苦労しました」と言うが、買い物客へ徐々に浸透し、今年は連日完売するほどまで人気が定着した。
料理法は名前の通り生食が一番。「大根は皮付きのままついて千切りにしただけです。この自家製ドレッシングがわたしは好きなの」と、サラダ大根にハムをからめたサラダをごちそうになった。皮の赤紫色がアクセントになっている。ちょっと酸っぱいドレッシングがみずみずしい大根とよく合う。
「朝作ったものですが、サクサクしてるでしょう。青首大根ならしなっとなっていると思います」と佐藤さん。確かに歯触りがよい。適当な表現か分からないがきれがある。大根なのに辛くない。「辛くない大根なんて…」という人は物足りないかもしれないが…。
もう一品いただいたのがニンジンとのあっさり漬け。これもみずみずしくておいしかった。青首大根より水分含有比率が高いのではないかとも思った。
葉の部分は食べられないのだろうか。疑問を口にすると、「出始めはうちでも食べていました。今は硬くなったので茎は皮をむいて、葉はちぎってけんちんなどにしてください」。漬物にするなら葉より茎の方がいいそうだ。
「友人にあげたら、煮物もよかったと言っていました。色がなくなるけど、煮るときは皮をむいてくださいね」。青首大根も栽培している佐藤さんは、サラダ大根は生食、青首大根は煮物と使い分けているそうだ。
いただいたサラダ大根をふろふきにしてみた。火が通るのが早い。「もたっ」としたところがない。どちらかというと「もちっ」とした食感で心地よい。
皮付きのまま大根おろしにしてみたら、大黒様の時に食べる黒豆なますのようなワインカラーになった。牛スジ肉と炊き合わせのようにしてみたが、これもおいしかった。茎は太かったので使わず、葉をちぎって湯に通し、塩でもんでおにぎりにした。素朴な味に大満足。大根の味を堪能させてもらった。生はもちろん、サラダ大根は煮ても焼いてもおいしいというのが今回の結論だ。
佐藤さんのサラダ大根はサイズによって100~120円。来週末ぐらいまで鶴岡市覚岸寺のしゃきっと=電0235(29)9963=で販売している。
サラダ大根、ハム、レタス、ドレッシング(酢、砂糖、しょうゆ各大さじ3、ゴマ油大さじ1、一味トウガラシかタカノツメ、おろしショウガ、レモン汁各少々)
食べるときに好みで刻みネギを入れてもよい。
2009年2月14日付紙面掲載