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地域情報化の未来像を探る 地域情報化フォーラム

地域情報化におけるテレワークの役割と可能性(1)

ワイズスタッフ代表取締役・田澤由利氏
講演する田澤氏の写真

地域における情報化やインターネットなどIT技術を使った地域活性化について、ひとつの例としてお話しできればと思います。

先のお二方の先生のお話でも、「地域のお金が、企業の本社がある大都市に行ってしまう」のが現状であるという指摘がなされておりました。今日は「テレワーク」というものをキーワードにして「大都市にある企業の給料を全国の地域でいただきましょう」というお話をしたいと思います。

先に自己紹介をしたいと思います。私はワイズスタッフという会社の代表取締役をしております田澤由利と申します。ワイズスタッフという会社は聞き慣れないと思いますが、東京あたりで名刺を交換すると不思議に思っていただけます。理由は書いてある住所が北海道の北見市だからです。北海道の北見市はご存知の方も少ないんじゃないかと思うんですが、北海道の右端の方にあります。私は北海道の出身なのか、というとそうではなくて、たまたま夫の転勤で名古屋とか岡山とか仙台、そして最後について行った先が北海道北見市でした。なぜ夫の転勤先の北見市に会社があるのかという疑問を持たれるかと思います。名刺にはもうひとつ、奈良県の住所も書いてあります。奈良県生駒市なんですが、大阪と名古屋の間辺りですね。そこにこの会社の2つ目のオフィスがあります。

東京で名刺交換をすると「どうして東京にオフィスがないんですか」、「どうして大阪とか札幌じゃないんですか」ということを言われます。会社というのは何となく大都市にあった方がかっこいいし、信用も置けそうな気がするので、聞いたこともない北見市や、大都市というには中途半端な奈良といわれてもピンとこないのかもしれません。なぜこうなったかという話をすると3時間くらいかかりますので省略しますが、転勤でついて行った北見市ですが「その地域を気に入ってしまって住み着いてしまった」というのがひとつの答えです。奈良は非常に単純で私の故郷だからです。今は北見に住んでおりますので、親孝行という視点からすると私は一人娘なんですけれども、一人娘が家を継ぐどころか北海道の端まで行っちゃったということで親に申し訳ないな、と。たまには帰ってあげる理由をつくらないといけないのですが、ちょっと遠すぎるので「遠すぎるならオフィスを奈良につくってしまえば出張名目で帰れるかな」というのが理由です。そんなことで2つのオフィスの会社をやっております。

今この話を聞いて「なんだそれ?」と思われた方も多いと思うんですが、そういったことができる理由があるんです。それは私がやっている会社は、働く人はもちろん経営者すらもどこにいてもいいという会社なんです。何でそんな会社をつくったかといえば、大学を卒業してから今は液晶で有名なシャープという会社に就職しまして、たまたま奈良に工場があったものですから、そちらに勤務しました。大学は東京でしたからUターン就職のようになって親にとっては理想的な娘だったんです。しかし、結婚相手は転勤族で、会社も辞めなくてはいけなくなりました。「でも何とか仕事を続けたい。これからも夫の転勤でどんどん違うところに行くのに仕事を続けるにはどうしたらいいだろう。そうだ、インターネットを使って仕事をすればいい」というのがひとつの答えだったんです。それが先ほどからキーワードとして出ている「テレワーク」というものです。

テレワークというのはどういうものか。テレには「離れた場所」という意味があります。ワークは「仕事をする」という意味ですね。このテレワークこそが私の会社が何とかやっていけているものですし、最初に出しました「大都市にある企業の給料を地方に持ってこよう」というためのキーとなる言葉です。テレワークは今お話ししましたように、離れた場所で仕事ができるというメリットがあります。

会社にいなくても仕事ができればどういうことが起きるか。一番分かりやすいのは通勤しなくていいということですね。出張が減るということもあります。どこにでもいていいのならわざわざ行く必要もないということです。会社にいる必要もないので、みんなでご飯を食べてから寝静まった後に仕事をしてもいいんですね。これは女性なんですが、育児休暇で休まなくてはならない時に、自分は職場復帰できるんだろうかという不安もあります。そういう中で、育児休暇中でも家で仕事ができたらいいのではないか、とかいろいろな良いことがあります。

「地域情報化におけるテレワークの役割と可能性」(2)

◇     ◇

田澤 由利 (たざわ・ゆり)
テレワークにおける「ネットオフィス」構想の推進者。
98年、北海道北見市にワイズスタッフを設立。地方在住者、高齢者、障害者も「ネットで働ける社会」の実現を目指し、テレワークの普及に取り組んでいる。
>> 株式会社 ワイズスタッフ(Y's STAFF)
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