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ホタテ稚貝の食べ方

読者から「スーパーによく並んでいるホタテの稚貝は、普通のホタテを間引きしたものですか。それとも種類が違うのでしょうか。みそ汁以外にもおいしい食べ方があれば教えてください。庄内浜でもホタテは採れますか」という質問をいただきました。

私もホタテの稚貝は大好きです。価格が安く、おいしいだしも取れます。シジミやアサリに比べて貝の身も取り出しやすく、みそ汁の具としては最高だと思います。間引きしたものですかとありましたが、ずばり正解です。

話は少しそれますが、この辺は青森産のベビーホタテが多く出回っています。ボイルホタテのやや小ぶりのもので、稚貝よりかなり大きいです。刺し身みたいにそのまま食べることができるように加工されています。「生食」以外にサラダや天ぷらに使われることも多いことでしょう。大きくなると、ウロと呼ばれる緑色の部分やオレンジ色の卵が占める割合が多くなります。それを嫌う人がいるので、小さなものを売るのです。

ホタテの稚貝(右)とベビーホタテです。ベビーホタテにはドレッシングが添えられることもあります

青森県のホタテ養殖は、成貝まで大きくして引き揚げるのではなく、半成貝まで育ててからスチームボイルし、ベビーホタテとして出荷します。その過程で間引きされたものが稚貝です。

みそ汁以外の食べ方を産地の人に聞いてみたところ、「アサリと同じですよ」と言われました。フライパンにバターと稚貝を入れて加熱するアサリバターの稚貝版は、お酒のつまみになります。現地では酒蒸しにもするそうです。なるほどアサリと一緒ですね。

私は、ストーブの上に稚貝を載せて食べたことがあります。味は成長したホタテ貝と変わらず悪くはなかったです。でも食べごたえはありませんでした。庄内浜ではホタテは採れません。

ホタテ貝にはベビーホタテ、稚貝のほかに成貝の殻付きと、それに一手間かけて生のままむき身にしたもの、ひもを取って貝柱だけにしたものがあります。

ホタテ貝の大半は養殖ですが、一部に天然物もあります。産地はオホーツク海に面した北海道の野付というところです。地撒というやり方で「種」になる貝を海底に放流し、貝桁網というかごのような網で採ります。厳密に言えば天然ではないかもしれません。

一方、ホタテの養殖は、魚と違い餌を与えません。海中にかごのようなものをつるし、その中に種となる貝を入れ、海の成分で成長させるのです。直接貝に穴を開けて糸を通して海に入れるという方法もあります。たまに糸を通した穴らしきものがある貝を見ることがあります。海に入れて3~4年で成貝になります。養殖ホタテの生産量は北海道が1位で50%を占め、青森県が40%、宮城県が10%未満、残りが岩手県です。天然物の99%は北海道、青森県が1%でほかの県では採れません。

味はどうかというと、天然物は香りが高く弾力性があり、養殖物は甘みが強く軟らかい。それぞれ長所があり、どちらもおいしいそうです。

この辺で流通しているホタテ貝は、冷凍の大きなボイルホタテと生の貝柱は北海道産、ベビーホタテは青森産、鮮度が要求される殻付きは距離が近い宮城産に分けられます。

余談ですが、この辺でみそ汁になる貝を季節で分類してみます。冬は寒シジミと言われるようにシジミです。春はモウソウをはじめ山の幸にライバルが多いので貝は低迷期です。夏になるとニシ(西)ガイ、シタミナ(ダマ)、イガイ、夏から秋にかけてはアサリがいいです。稚貝は年間を通して出荷されるので、これらの端境期に重宝しますが、本来は春のものだと思います。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2008年9月19日付紙面掲載

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