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昔から祭り料理の主役。タイ編(上)

このコーナーも20回の節目を迎えることができました。今後もご愛読よろしくお願いします。さて天神祭が目前となった今回は、お祭りに欠かせないタイを取り上げたいと思います。

前回、お話ししたように、世代にもよるのでしょうが、庄内では春のお祭りにつく魚はマスかタイだったようです。すごく食べられた魚だということは言えると思います。おめでたい魚としておなじみですね。英語でタイをジャパニーズ・シー・ブリームと言うそうです。日本人にとってタイがいかに大切な魚であるかが国際的にも認識されていることの表れでしょう。

先日、鼠ケ関で水揚げされた見事な雌のタイです。人間の女性で言えばかなりの美人だと思います

毎回、言うようですが、タイに限らず魚は産卵後、味が落ちます。産卵前の花見シーズンごろのタイを桜ダイとか花見ダイと呼び、この時期のタイが旬とされているところがあります。庄内の場合は冬が旬です。旬の時期は魚が捕れる場所によって違います。タイは春から夏にかけて産卵しますが、6月ごろのタイを麦わらダイとか落ちダイと呼ぶところがあります。麦わらが色づくころのタイはおいしくない時期と言われています。

「…ダイ」と名の付く魚は国内だけで200種類以上いますが、タイ科に属するものは10数種類に限られます。「…ダイ」という名前でも、生物学上の分類はタイではないことになります。メダイなどがこれに入ります。

尾びれの後の縁の部分が黒いのがタイの特徴です。体長は2年で20cm、4年で30cm、6年で40cmに成長します。産卵は南の海にすむタイから始まり、庄内ではそれより遅い時期に産卵期を迎えます。天神祭以降は産卵を終えておいしくなくなりますが、まだ「いける」うちに祭りを迎えるわけです。

タイにはタイずしや茶漬け、タイ飯、タイみそ、タイでんぶ(そぼろのようなものです)、笹漬けなど多彩な料理法があります。「目の下一尺」と言って、体長40~50cm、重さにして2kg前後がもっともおいしい(ヒラメもそうです)と言われています。身が厚く尾に幅があって太っているものを選んでください。そして目の上が青っぽい紫色に輝いているものは鮮度がいいのです。アイシャドウみたいなもので青光りしています。

タイは栄養面からも体に良く、脂肪が少ない割に味もよいのです。グルタミン酸を豊富に含み、食欲増進や疲労、冷え性の緩和、二日酔い、口内炎、生活習慣病にも適しています。青魚と同様に、中性脂肪を抑えるEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれています。老化防止にも役立つし、高齢者の食事や離乳食にも最適と言えます。

タイは、日本料理はもちろん、西洋料理や中華料理にも使われます。料理の種類にかかわらず、いろんな食べ方があります。塩分が気になる人は、刺身をポン酢で食べるとよいそうです。

紙数が尽きてしまいました。私自身、タイが大好きなので、皆さんにお伝えしたいことがたくさんあります。今回はタイ編として2回に分けてお送りします。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年5月23日付紙面掲載

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