2025年(令和7年) 2月12日(水)付紙面より
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収蔵品展「アートで巡る四季のうつろい」開会中の酒田市美術館で、愛用のぬいぐるみたちが館内に“宿泊”しながら展示作品を鑑賞したり、一帯を探索する「お泊り会」が行われている。ぬいぐるみの様子はSNSで随時発信。初日の9日午前、落とし物として致道博物館(鶴岡市)で35年余もの間、大切に保管され話題になったドナルドダックのぬいぐるみ「ドナちゃん」に「初代お泊り会隊長」の委嘱状が交付された。
酒田市美術館は、広く美術館やアートに親しみをもってもらおうと全国に先駆けて2022年11月、1週間にわたってぬいぐるみを預かり、館内でさまざまな体験をする「お泊り会」を開催。発案者で学芸主任の竹内治子さんは「図書館でやっているのを知り、ぜひ美術館でもということになった」と話す。
追随する形で昨年11月に東京国立近代美術館で開かれ、20体の募集に3000もの応募があるなど反響を呼んだ。この際、市美術館が「先駆け」として注目を浴びたことから約2年ぶりに行うことにした。
今回お泊りしているのは「ドナちゃん」を含め6体で、中には手作り作品もあるという。9日午前11時すぎに「チェックイン」したぬいぐるみたちはセレモニーに出席、市美術館を運営するさかた文化財団の村上幸太郎理事長が「人以外に委嘱状を手渡すのは初めて。よろしくお願いします」と述べ、ドナちゃんに委嘱状を手渡した。引き続きぬいぐるみたちは館内の喫茶店「モンマルトル」での昼食に臨んだ。幼少時から所持するクマのぬいぐるみを持参した鶴岡市の会社員男性(59)は「この機会に友達をたくさんつくってほしい」と。竹内さんによると、ぬいぐるみたちは16日(日)まで7泊8日する。滞在中は市美術館公式Xで随時発信するという。撮りためた写真をアルバムにし、「チェックアウト」の際に持ち主に贈る。
一方、洋画や日本画、彫刻、工芸など幅広い分野の作品を紹介する収蔵品展は3月9日(日)まで。
2025年(令和7年) 2月12日(水)付紙面より
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庄内砂丘特産のアサツキをPRしようと「食の都庄内」ブランド戦略会議と「庄内まるごと届け隊」推進協議会は、東京・銀座で初の「あさつきフェア」を開く。期間は12日から18日までの1週間。銀座の飲食店に旬のアサツキを無償提供する。参加各店では「酢味噌和え」のほか、オリジナル料理を作りシャキシャキとした歯応えと独特の辛味があるアサツキのおいしさを顧客に伝える。
アサツキは酒田市袖浦地区を中心に栽培されている在来作物の一つ。ネギやニラの仲間で庄内では球根から伸びた新芽の部分を食べる。JAそでうらでは例年11月中旬から3月下旬にかけて砂丘地から掘った株をハウスに入れて新芽を伸ばしパック詰めしたものを「庄内砂丘あさつき」というブランド名で首都圏に出荷している。県庄内総合支庁によると、庄内では54件の農家が約16トン(2023年度実績)を生産している。
フェアは両団体が「一足早く春の訪れが感じられる野菜」として首都圏の市場に定着したアサツキに着目。庄内を代表する冬の味覚を発信しようと売り込むことにした。「銀座料理飲食業組合連合会」に協力を求めたところ27店舗が参加した。
加盟店は日本料理、すし店、居酒屋、中国料理店、イタリアン、焼き肉店、郷土料理店、バーなどさまざま。各店には旬のアサツキそれぞれ3キロ(150グラム20袋入り)を直接送る。中国料理店では豚のそぼろと干しエビ、鷹の爪、庄内産アサツキを炒めた料理を予定している。
生産者の一人でJAそでうらのアサツキ部会会長の高橋忠夫さん(65)は「今年の作柄は上々。『雪国の味』を味わってほしい」と笑顔を見せた。
両団体事務局の県庄内総合支庁地域産業経済課の担当者は「アサツキの知名度アップにつなげたい。初のフェアを通して一人でも多くリピーターが増えてくれれば」と話している。
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「食の都庄内」ブランド戦略会議は県と庄内2市3町、「庄内まるごと届け隊」推進協議会は県、庄内2市3町、各JA、全農でそれぞれ構成する。ともに庄内の食文化の魅力を発信する取り組みを行っている。
2025年(令和7年) 2月12日(水)付紙面より
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問題が明るみになったのは8年前。今度こそ真相が明らかになるだろうか―。大阪の学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の公文書改ざん問題で、関連文書を不開示とした財務省の決定について、大阪高裁が一審判決を取り消す判決を出した。石破茂首相は判決を受け入れて上告を断念した。この問題では、改ざんを強いられたことを苦に、近畿財務局の男性職員が自殺している。
国民の財産(国有地)が、不透明な手続きの上、安値で売却された。その背景には何があり、どの部分がどのように改ざんされたのか、高級官僚はなぜ改ざんを指示したのか―。情報公開法の理念は「原則公開」。財務省は黒塗りするようなことをせず、つまびらかにしなければならない。
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森友問題が発覚したのは2017年2月。森友学園の小学校建設用地として国有地が売却されたが、大幅な値引き取引を巡る交渉の文書を、財務省と近畿財務局が改ざんした。同学園の名誉校長に安倍晋三元首相の妻・昭恵氏が就いていた。昭恵氏の同学園に関する言動は、ニュース映像などで報じられている。文書では、昭恵氏らの名前が削除されたという。
自死した職員の妻の文書開示請求に、財務省は文書の存否を明かさずに不開示とした。文書があるかないかを明かさずの不開示は、例えが当たるかだが、時代劇の悪代官が「上役人の言う事に間違いはない」と、権力で物事を抑え込もうとする場面と重なる。そのようなことは、そもそも日本の言葉として成り立たないような気がする。
森友文書の改ざんは、安倍首相(当時)が国会で「私や妻が関与していれば首相も議員も辞める」と答弁した後から、財務省理財局長(同)が主導して始まり、文書から安倍氏や昭恵氏らの名前を削って書き直した。有印公文書変造容疑などで刑事告発された理財局長ら財務省職員38人は不起訴になった。それにしても、高級官僚が出世(人生)を棒に振ってまで、なぜ改ざんしなければならなかったのか。上司から強いられたとはいえ、職員は改ざんするという良心の呵責(かしゃく)に追い詰められた。国や官僚の体質が背景にあるのか。
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加藤勝信財務大臣は文書の存在を認め「開示・不開示は今後検討する」と述べている。情報公開法の理念と、石破首相の「自ら命を絶たれたことを重く受け止める」という言葉から、遺族が求める文書の全面開示は当然であろう。「黒塗り」があるようでは、真相はまた闇に包まれてしまう。
石破首相の上告断念は、「安倍政治と忖度(そんたく)政治」からの決別を意味するのではないかとの見方もされている。かつて「人の命は地球より重い」と語った首相がいる。政治は人を幸せにするためにある。職員を死に追い詰めるような政治など許されるはずがない。財務省の賢明な判断を望みたい。
2025年(令和7年) 2月12日(水)付紙面より
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第10回鶴岡市こども環境かるた大会が8日、市第三学区コミュニティセンターで開かれ、市内の小学生がかるた取り競技を通じて地元の自然や環境保全について学んだ。
こども環境かるたは、市と関係団体などでつくる「環境つるおか推進協議会」が2011、12年度の2年で、市内の小中学生から44音の読み札と絵札を公募して製作。13年2月に第1回大会を開いた。地球温暖化の影響の深刻化や社会環境や海洋プラスチックごみ問題など環境を取り巻く情勢の変化に伴い、昨年度までに読み札と絵札を改訂した。
大会には友達同士やきょうだいなど2人一組で小学生の低学年の部に5組、中学年の部に10組、高学年の部に7組の計22組44人が出場。各部門でトーナメント戦と敗者復活戦が行われた。
畳を敷いて競技場とし、2チームが対面して自陣に22枚ずつの絵札を置いて対戦。読み手が「つなごうよきれいな海を未来へと」「減らそうよ地球のために二酸化炭素」「『もってねのー』ぼくらみんなで広めてく」などと読み上げると、子どもたちは「はいっ」と元気な声とともに勢いよく手を伸ばし、札を取っていた。見守った保護者からは「集中して」「諦めないで」などの応援の声も飛んでいた。
小学生中学年の部に出場し3位に入賞したともに東栄小3年の今野心遥(こはる)さん、加藤朱莉(あかり)さんは昨年の低学年の部に続いて出場した。「いっぱい練習した。参加して楽しかった。3位になれてうれしい」と笑顔いっぱいだった。