2022年(令和4年) 6月12日(日)付紙面より
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酒田市の国指定史跡「山居倉庫」を中心とした中心市街地の活性化に向け、新井田川を挟み対岸に位置する市有地の酒田商業高跡地(上本町)に民間資金で商業・観光施設を整備する事業について市は10日、先月に開催した4事業者・体による公開プレゼンテーションの結果を公表した。優先交渉権者に総合建設業・丸高(同市下安町、高橋剛社長)が代表を務める地元企業を中心とした7社の事業体を選定した。次点は大和ハウス工業山形支店(山形市)。
跡地の利活用について市は昨年、民間のアイデアを生かし、市民や観光客が立ち寄って経済活性化につながるような施設にしていくため「酒田商業高校跡地活用基本構想」を策定。同11月から民間事業者を公募したところ、県内外各2者ずつ計4者が応募。先月31日に希望ホールで公開プレゼンテーションを行い、学識経験者や市幹部職員ら8人で組織する事業者選定委員会(委員長・吉村昇東北公益文科大学学事顧問)が審査した。
優先交渉権者に選定されたプランは、江戸時代に庄内藩が創建し明治以降は本間家が引き継いだ米蔵「いろは蔵」が建ち並んでいたことにちなみ、「いろは蔵パーク(仮称)プロジェクト」と命名。コンセプトとして「人的交流を基盤とする酒田の歴史や自力で課題解決に取り組む風土、酒田での生活を熟知した『酒田プライド』を持つ地元民が結束し、地域再生のためのチャレンジを支え、人とまちを活性化する」を掲げている。約2万平方メートルの敷地に蔵をイメージした建物を新設、スーパーマーケット、フードコート、山居倉庫から移転する物産館・産直施設機能などを整備するとともに、周囲には緑あふれる広場を配置する他、駐車場も多く確保。デジタル変革など先端技術の活用、市民を巻き込んだ地域密着イベントの開催なども盛り込んでいる。
選定委が発表した報告書によると、山居倉庫周辺エリアの変遷、歴史的背景などを踏まえた提案内容がハード・ソフト両面で高く評価されたという。吉村委員長は「優先交渉権者は市有地を活用する本事業の性質、山居倉庫周辺エリアの特性を踏まえ、事業の確実な実施、供用開始後の持続・安定的な運営に向け、誠心誠意取り組んでほしい」としている。今後、市と事業体は基本協定を締結、2024年度中のオープンを目指す。