2012年(平成24年) 4月11日(水)付紙面より
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鶴岡市の五十川小学校(越中聡校長、児童31人)の全校児童が9日、これまで飼育してきたサケの稚魚約6000匹を近くの五十川に放流した。
同校では命の大切さを学ぼうと総合学習の一環で1990年から毎年、地元の山戸漁協(本間義一郎組合長)の協力でサケの採卵、授精、飼育、放流までの一連の活動を行っている。
今回は昨年11月下旬に親サケ3匹から約1万個の卵を採取、授精させ同校敷地内にあるサケ小屋で今年1月13日ごろにふ化させた。児童たちは飼育小屋の点検や水温管理、餌やりなどの飼育活動に休日も分担して取り組み、約6000匹の稚魚を約5センチまで成長させた。
同校によると、放流は3月の卒業式に合わせて毎年行っていたが、今年は寒い日が続き水温が低かったため、稚魚の成長が進まず、例年に比べ3週間ほど遅れたという。
放流には全校児童や山戸漁協、地元住民らが参加。はじめに本間組合長が「サケの稚魚は北海道へ北上し、夏にかけてカナダ、アメリカまで回遊する。その間、オキアミなどのプランクトンを食べて成長する。4年後に戻ってくるのは全体の2%程度」とサケの生態について説明。児童を代表して6年生の鶴巻奈那美さん(11)、佐藤新君(11)、齋藤大暉君(11)の3人が「命を与えてくれた親サケたちに感謝し、稚魚たちが4年後に五十川に戻ってくるよう気持ちを込めて放流しましょう」とあいさつした。
続いて、児童たちはサケ小屋でバケツに稚魚を分けてもらい、歩いて学校前にある五十川の河原へ移動。児童たちは川沿いでバケツを傾け「大きくなって戻ってきて」とそっと稚魚を川へ放していた。