2013年(平成25年) 8月18日(日)付紙面より
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鶴岡市温海地域の戸沢地区に伝わる「戸沢花胡蝶(はなこちょう)歌舞伎」が16日、戸沢公民館で上演され、約2カ月にわたって稽古を積んだ地元住民たちが、熱演を繰り広げた。
起源は定かではないが、隣接する山五十川地区の「山五十川歌舞伎」(県指定無形民俗文化財)とほぼ同じ約300年の歴史があるという。山五十川歌舞伎が様式美を備えているのに対し、戸沢花胡蝶歌舞伎は地元住民で楽しむ素朴さが持ち味。毎年8月16日に上演されることから「供養歌舞伎」とも呼ばれる。
今年の演目は「花曇佐倉曙 宗吾郎住家之場」で、岩橋村の名主・木内宗吾郎が村の税を軽減するため、鎌倉へ直訴に向かうという物語。家族を心配した宗吾郎から離縁状を渡された妻・おさんが離縁状を破り捨てる場面や、子どもたちが宗吾郎の身を案じるシーンなど、演者たちは随所で情感を込めた。
会場には大勢の地区住民が訪れて観劇。演者たちの名演技に拍手を送っていた。