2015年(平成27年) 2月24日(火)付紙面より
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鶴岡市小国地区に伝わる伝統行事「小国八幡宮弓射(ゆみいれ)神事」(市指定無形民俗文化財)が22日、同地区の小国ふれあい村(旧小国小学校)で行われた。裃(かみしも)姿の若者たちが古式ゆかしく弓引きの神事を繰り広げた。
弓射神事は五穀豊穣(ほうじょう)や厄よけを祈願する小正月行事として440年余の歴史を持つと伝えられている。戦時中にいったん途絶えたが、1958年に小国八幡宮弓射神事保存会が結成され復活。近年は3年に1度の奉納だが、今回は地区内の不幸などの事情により5年ぶりの奉納となった。
的を射ることよりも礼儀作法を重んじ、神をあがめ慰めることを目的としており、胸元から矢を放つ独特の作法が特徴。古文書には、かつて庄内藩の弓の名手が「我らと同流」と語ったことが伝わっており、流派は「日置(へき)流」とみられる。
この日は午前8時40分ごろ、八幡宮の神主に当たる宮守(みやもり)・五十嵐和一さん方から裃姿の射手ら約20人が「渡御行列」に出発。弓や供え物などを手に、会場まで約500メートルをゆっくりと練り歩き、ご神体を会場に移した。その後、同10時すぎに弓儀式が開始。初めに弓を引く順番を決める「矢代(やだい)振り」が行われた。
順番が決まると射手の6人は「丁見(ちょうみ)的」として約27メートル先に設置された一尺二寸(約35センチ)の的を目掛けて試し打ち。続いて、本番の「奉射(ほうしゃ)的」が行われ、片肌脱いだ射手たちが祖先から伝わる作法を厳かな雰囲気の中繰り広げ、五尺二寸(約160センチ)の大的や、四半(約40センチ)や四寸(約20センチ)などの小的を狙って次々と矢を放った。見事的に命中すると、烏帽子(えぼし)姿の「采振(さいふり)役」が「当たーりー」と大声で唱え、神事を見守っていた見物客からは大きなどよめきと拍手と声援が上がっていた。