2015年(平成27年) 8月11日(火)付紙面より
ツイート
川にせり出すように設置された特設舞台で、鶴岡市櫛引地域に伝わる黒川能(国指定重要無形民俗文化財)を上演する「せせらぎの能」が8日、同市のあつみ温泉街で開かれた。心地よいせせらぎと夜風が演出する能舞台が、訪れた能楽ファンを魅了した。
温泉街散策が楽しめる温海川右岸沿いの「かじか通り」が完成したことを記念し、地域の活力向上を図ろうと、自治会や観光協会、商工会などで組織する「あつみ温泉魅力づくり推進委員会」(会長・遠田茂昌温海温泉自治会長)が2010年から毎年この時期に開催している。
日が沈んだ午後8時すぎ、黒川能下座による「一角仙人」が開演。萬国屋前の温海川にせり出す形の特設ステージで上演される能舞台に、浴衣姿の温泉客や地元住民など大勢の観衆が対岸から見入った。
今年は新たな企画として、プロジェクションマッピングが能舞台を演出。舞台下に設置された幕に、川の流れや春日神社の社紋「六つ目結の紋」が投影された。
福島県須賀川市から家族らと共に訪れた伊佐昌子さん(74)は「能はあまり詳しくないが、心地よい夜風の舞台に見入ってしまった」と話していた。