2015年(平成27年) 10月27日(火)付紙面より
ツイート
来春に統合し「あつみ小学校」となる鶴岡市立山戸小学校(工藤幸吉校長)で25日、閉校記念式が行われた。在校生や地域住民ら約300人が出席、全校児童22人による最後の子ども歌舞伎の上演などが行われ、地域で脈々と受け継がれてきた「山戸っ子魂」を胸に刻み、思い出多い学舎の閉校を惜しんだ。
山戸小は明治8年に地区の寺に開設された冷泉学校を創基に、1904(明治37)年に山五十川、戸沢の各尋常小学校が統合して山戸小としてスタートした。創設111年を数え、卒業生は3500人余り。山戸能と山五十川歌舞伎が伝わる地域として、学校挙げて伝承活動に取り組むなど地域の学校として歩んできた。児童数の減少に伴い、来春に温海、五十川、福栄の3小学校と統合し「あつみ小」となる。
この日の閉校式には来賓をはじめ、歴代校長、地元関係者らが出席。式典を前にかみしも姿の全校児童が謡「高砂」「四海波」を披露。式典では田中芳昭教育委員長が閉校宣言し、山本益生副市長が榎本政規市長の式辞を代読し、「予想をはるかに超える過疎化でこれからの将来を担う子供たちの将来を願い、教育環境の配慮から山戸小は幕を閉じる。閉校は感慨深いと思うが、歴史と伝統は深く生き続ける。古里への絆を大切に」と述べた。
工藤校長は「子どもは地域の宝、地域づくりは人づくりとこの学校で地域の方に教えていただいた。子どもたちは伸び伸びとたくましく成長し、素直にひたむきに取り組む姿はまさに山戸の宝。山戸魂そのものはいつまでも多くの人の中に生き続ける」と声を詰まらせながらあいさつ。児童代表の本間悠さん(6年)は涙を手で拭いながら「ありがとう山戸小。山戸小で学べたことを誇りに思う」と述べた。
引き続き、旧校舎や子どもたちの学校生活をまとめたDVD上映に続き、山戸小として最後となる全校歌舞伎「義経千本桜 伏見稲荷鳥居前の場」を上演。高学年が義経や弁慶などの役を見事に演じ、低学年の児童も家来役でせりふを披露。名役者ぶりに大きな拍手が送られた。