2015年(平成27年) 12月30日(水)付紙面より
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鶴岡市大岩川の浜中地区で28日、同地区内に住む女の子同士が“姉妹の契り”を結ぶ風習「ケヤキキョウダイ」の儀式が、2年ぶりに行われた。3人姉妹と2人姉妹の2組がくじ引きで決まり、生涯にわたって助け合っていくことを誓い合った。
由来は定かではないが、250年以上の歴史があるとされる。小学生の女の子が、稲わらのくじを引き、同じわらの両端を引き合った者同士で一生涯義理の姉妹の誓いを立てる。くじ引きの儀式は、前回契りを結んだ“先輩姉妹”が指導役を務める。ケヤキキョウダイが決まると、その後3年間大みそかに集まり、同じ部屋で寝泊まりするとともに元日の昼まで断食。義理の姉妹同士だけではなく、儀式に取り組んだ仲間同士で絆を強くする。「ケヤキ」は「契約」のなまりという。
生涯を通じて関わり合う同年齢集団の基盤を形成する成女儀礼の風習として全国でも珍しく、1989年に旧温海町の無形民俗文化財、93年には「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として国の指定を受けた。現在は「浜中ケヤキキョウダイ保存会」(五十嵐加代子会長)のサポートで続いている。
この日は、午前10時すぎから同地区にある大坂神社で儀式が始まった。集まった小学3―4年生の女の子5人は、先輩姉妹の諸注意を受けた後、込み上げる期待感を顔ににじませながら稲わらに手を伸ばした。
今回誕生した姉妹はいずれも温海小の、荒井桜花さん(10)=4年=と剱持葵さん(10)=同、五十嵐莉唯さん(9)=3年=の3人姉妹と、太田栞愛さん(10)=4年=と佐藤希采さん(9)=3年=の2人姉妹。決まった瞬間、神社の境内に驚きと喜びが入り交じった黄色い声が響いた。
くじを固く握った5人は、神社から近くの庄内小国川河口へ。くじを流れに乗せるとそっと手を離し、海へ向かってたゆたう稲わらに願いを込めて手を合わせた。無事に儀式を終えた姉妹たちは、口をそろえて「ずっと仲良くいられるように願った」と話していた。
自身にも50年来のケヤキキョウダイがいる五十嵐会長は、「これからもみんな仲良くね。下の子たちがあなたたちの姿を見て、ケヤキキョウダイになるのを楽しみにするからね」と、妹や姉を得た子どもたちに語り掛けていた。
次回の契りの儀式は5年後になる予定。