2016年(平成28年) 3月19日(土)付紙面より
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学校統合により本年度で閉校する鶴岡市立五十川小学校(宮野弘校長)の全校児童38人が17日、卒業式後に自分たちでふ化させ飼育してきたサケの稚魚約5000匹を近くの五十川に放流。海への長い旅に「旅立つ」サケの姿に、卒業生らが自分たちの姿を重ねた。
同校は、1990年から地元の山戸漁協の協力で、サケの採卵や授精、飼育、放流の一連の活動に取り組んでいる。校舎脇にあるサケ小屋には山水を引いた水槽があり、今年は昨年11月に授精体験を行い、ふ化した稚魚を高学年が中心になって当番制で飼育してきた。小屋には子どもの字で「さわがない」「水おんをはかり、日っしに書く」など“決まり”が記されている。
この日は卒業式後に児童と保護者が河原に出て、「サケの出発式」。体長5センチほどまで育った稚魚をバケツに入れ、6年生から順にまだ冷たい川に放した。子どもたちは「元気に帰ってこいよ」と掛け声。卒業する6年生の加藤颯太君(12)と佐藤空海(くう)君(12)は「学校がなくなるのはとっても寂しい。大事に育てたサケが元気に帰ってきてほしい」と話した。
一連の体験を指導してきた同漁協の本間義一郎組合長(83)も「川が続く限り放流するが、子どもたちとの放流が最後になるのは寂しい限り」と話した。