2016年(平成28年) 4月2日(土)付紙面より
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鶴岡市のあつみ温泉で1日、しな織や温海カブ、地酒などの特産品を販売する朝市が始まった。温泉宿泊客と、「あば」と呼ばれる売り子たちが「いらっしゃい。食べてみて」「おまけしてよ」などと朝市ならではの活気あるやりとりを繰り広げた。
初日の1日は、午前5時半のオープンから市場に温泉宿泊客が訪れ、「アサツキってどうやって食べるんですか」「味見してみて」などと売り子たちとの会話を弾ませながら買い物を楽しんでいた。千葉県船橋市から夫婦で訪れた直木晨太郎さん(74)は、温海カブの漬物を購入。「昨日夕食で食べておいしかったから、お土産にする。市場は温泉街の情緒があって気に入ったが、もう少しにぎわいがほしいかな」と話していた。
あつみ温泉の朝市は、江戸時代中期、「あば」と呼ばれる海岸部の女性たちが新鮮な魚介類や農産物を露店販売したのが始まりとされる。1989年からは温泉街の中心部で朝市が開かれ、99年から木造平屋建ての長屋式店舗で実施。今シーズンは11月末までの営業で、8店舗が常駐するほか、山菜やサクランボなど、“季節モノ”を扱う店が期間限定で出店する。
歴史ある朝市だが、出店数は年々減少傾向にある。今年は昨年まで参加していた2店舗が出店をやめ、1店舗が新規で加わった。また、参加店で朝市組合を組織して実施していたが、出店数の減少で今回から組合組織は消滅。20年以上出店してきたという齋藤澄子さん(81)=同市湯温海=は「このままだと、朝市はなくなる。さみしいが、私も高齢で来年も続けるかは分からない」と話していた。