2016年(平成28年) 8月18日(木)付紙面より
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鶴岡市温海地域戸沢地区に伝わる「戸沢花胡蝶(はなこちょう)歌舞伎」の公演が16日、地元の戸沢公民館で行われた。地区の若者たちによる素朴な芝居が観客を楽しませた。
起源は定かではないが、隣接する山五十川地区の「山五十川歌舞伎」(県指定無形民俗文化財)とほぼ同じ約300年の歴史があるとされる。様式美を備える山五十川歌舞伎に対し、戸沢花胡蝶歌舞伎は地元住民らで楽しむ素朴さが持ち味。自治会などでつくる実行委員会(五十嵐一美委員長)が主催して毎年8月16日に披露されている。
今年の演目は「奥州安達ケ原 四段目 あばら屋之場」。平安時代後期の前九年の役で源義家に敗れた安倍氏の再興を主軸に、安達ケ原の鬼女伝説を絡ませたストーリー。同演目の上演は17年ぶりで、前回役者を務めた若者たちが今回は師匠となって6月ごろから稽古してきたという。この日、会場には約160人の地区住民らが来場。鬼女・岩手の迫力ある演技を織り交ぜながら、物悲しい雰囲気のストーリーが展開。熱心に見入る観客は合間で大きな拍手を送っていた。