2022年(令和4年) 5月14日(土)付紙面より
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鶴岡市本町一丁目の生涯学習拠点「庄内文化センター」で、特設展示「庄内の伝統工芸のかたち」が開かれている。
この展示会は、同センターが新体制で再スタートし、今月で開講1年を迎えたことを記念して企画した。職人の高齢化で存続の危機にある地元の工芸品に関心を持ってもらおうと、御殿まりや庄内刺し子、絵ろうそくなど約180点を紹介した。
日本三大刺し子のひとつとして知られる庄内刺し子の第一人者・佐藤恵美さん(66)=庄内町余目=の作品は、昔ながらのはんてんをはじめ、バッグや眼鏡入れ、スマートフォン入れなど40点。目が細かく繊細緻密なデザインが特徴とされる庄内刺し子特有の技法を巧みに表現している。
江戸時代の庄内藩奥女中たちが手遊びに作ったのが始まりという御殿まり。明治時代でまり作りの風習がなくなったが、昭和に入って伝統的な御殿まりの再現に成功した故・上野富美さんの「菊刺し」「三菱」「六角刺し」「亀甲」など、色と形が美しい多彩な伝統模様を今に伝えている。
この他にも絵ろうそく職人として、国の卓越技能者表彰を受けた故・富樫雄治さんの作品「龍に乗った観音様」もあり、訪れた人の目を引いている。鑑賞に来ていた山王町に住む60代の女性は「庄内の伝統工芸品をたくさん見られるいい機会。若い人も興味を持って見に来てほしい」と話した。
展示は25日まで。開館時間は午前9時半から午後4時半まで。日曜休館。
同センターでは伝統工芸の体験講座を予定しており、御殿まり作りは28日と8月27日に、絵ろうそく作りは6月25日と9月24日に2回ずつ開講する。問い合わせは同センター=電0235(25)8533=へ。