2011年(平成23年) 1月5日(水)付紙面より
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遊佐町吹浦の女鹿集落で3日夕から夜半にかけ、奇習「アマハゲ」が繰り広げられた。鬼のような面をかぶり、ケンダンと呼ばれるみのをまとったアマハゲが奇声を上げながら家々を回った。
アマハゲは、吹浦地区のうち「浦通り」と呼ばれる秋田県境に近い滝ノ浦、女鹿、鳥崎の海岸沿い3集落に残る新年行事。冬の間、何もしないでこたつに入ってばかりいるとできる赤い斑点「あまげ」をはぎ取る意の「あまげはぎ」が転じたものとされ、怠け心を戒めて勤労・勤勉を促す風習とされる。
3集落ともほぼ同様の形態で受け継がれ、1984年に「遊佐の小正月行事」として国の重要無形民俗文化財に指定された。毎年、元日に滝ノ浦、3日に女鹿、6日に鳥崎の各集落でそれぞれ行われる。
3日は女鹿集落の若衆7人が参加。太鼓を担当した若衆代表、池田大さん(41)を除いた6人が、「赤鬼」「青鬼」「赤じんじ」「黒じんじ」「がんぐつ」と呼ばれる漆塗りの面を交代でかぶりアマハゲとなった。
玄関先で「ドーン、ドーン」と勢いよく太鼓を打ち鳴らし、「アー、アー」と奇声を発しながらアマハゲが一斉に家の中に。子供たちは怖さのあまり泣き叫んだり、両親やおじいちゃん、おばあちゃんにしがみついていた。降雪や積雪もなく例年に比べ穏やかな天候の中、アマハゲたちは集落の約30戸を回った。
暴れたアマハゲのケンダンから落ちたわらくず「コモジ」は掃き集められ、家内安全や無病息災を願う縁起物として床の間に一晩飾るという。