2011年(平成23年) 9月18日(日)付紙面より
ツイート
今年で5回目を迎えた「笹(ささ)巻きサミット」が17日、遊佐町のしらい自然館で開かれ、講演や研究報告、笹巻きの試食などを通し、参加者が地域の食文化や伝統食の継承について考察した。
笹巻きという伝統食を通し、食の大切さを考えてもらおうと、笹巻きサミット実行委員会(奥山京子代表)が中心となって毎年開いているサミット。今年は「伝えよう 食の心 翼にのせて」をメーンテーマに掲げ、広く庄内地域一円から女性約80人が参加した。
開会セレモニーに続き、酒田市出身で愛国学園短期大学副学長の平尾和子さん(農学博士)が「生活の中の葉っぱ利用」と題して講演。人間が葉に求める“仕事”として、▽生活に欠かせないもので時代の要請に従って使用されてきた▽身近に草木のある生活は心を穏やかにし、自然を大切にする気持ちを忘れさせない▽食品を包む、のせる、飾る、仕切る仕事を安心して任せられる▽笹舟や笹笛など身近なおもちゃ―の4つを上げ、「目に穏やかな緑色、葉が揺れるサラサラという音は、人にとって精神的な安定をもたらしてくれる」と語った。
そして、東アフリカ・エチオピアで広く使用されている「エンセット」という樹木の葉を紹介し、「果実はつかないが、でんぷん質を葉や茎に蓄える。家族がずっと食べられるよう同国では生け垣に使用している」と述べた。
引き続き、女子栄養大の学生たちが笹巻きをはじめとした郷土料理の商品化・情報発信について、これまで研究してきた成果を発表。昼食時には同町と庄内町、鶴岡市の笹巻き3種を食べ比べ。参加者は味を確認しながら舌鼓を打っていた。