2012年(平成24年) 1月21日(土)付紙面より
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遊佐町で促成栽培ウルイの収穫作業が始まった。もみ殻の中から掘り出されたウルイは、茎が透き通るような純白で、葉先は優しい薄緑色。その鮮やかなコントラストが、早春の息吹を感じさせている。
ウルイは、ユリ科ギボウシ属の多年草・オオバギボウシの若葉。同町では山間部で30年余り前から促成栽培が始まった。2年前の春に株分けしたウルイを前年12月から順次、ビニールハウスに移植してもみ殻をかけ、地中に通したパイプにお湯を流すなどして床を15度前後に暖めながら1カ月ほど育て、30センチぐらいになったものを収穫する。
冬の農閑期に収入を得られるのが魅力。転作田で育成できるため同町では近年、野沢地区など平野部でも栽培が増え、今では全国トップクラスの品質と収穫量を誇る産地になった。昨年はJA庄内みどり鳥海山菜専門部(村上専之助専門部長)の34人が約5・5ヘクタールで栽培。庄内全体の9割に当たる約31万パック(100グラム詰め)を主に首都圏に出荷し、4000万円弱を売り上げた。
同専門部は19日、同町庄泉の同JA遊佐園芸センター選果場で「目ぞろえ会」を開催。出荷が本格化する前に品質や荷姿などの規格を統一し、ブランドの維持を図ろうというもの。生産農家ら30人余りが参加。収穫後は必ず水洗いし、十分に水切りした上で出荷することなどを申し合わせた。
促成栽培のウルイは癖がなく、サクッとした歯応えと軽いぬめりが特徴。あえ物や浅漬け、油炒め、天ぷらなどのほか、生でも食べられる。
村上専門部長は、同町京田の自宅近くで二十数年前から栽培。昨年12月23日に移植したウルイが出荷サイズに成長、18日から収穫を始めた。「市場では遊佐産が一番との評価を得ている。日本一を自負していくためにも、高い品質のウルイを生産していく」と話した。
出荷作業は4月下旬まで続く。